6月4日 (火) 甲子園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 3 1 0 0 0 5 ジャイアンツ 23勝12敗 0.657 澤村栄治
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 南海 9勝24敗2分 0.273 清水秀雄 劉瀬章
勝利投手 澤村栄治 1勝0敗
敗戦投手 清水秀雄 5勝8敗
二塁打 (ジ)白石
三塁打 (南)前田2、木村
勝利打点 川上哲治 5
澤村栄治復帰!!!
さあ皆さん、澤村が帰ってきました。昭和12年秋季リーグ戦を最後に入営し、今年除隊した澤村栄治は戦地で左手に貫通銃創(当時の新聞によると「名誉の貫通銃創」)を負い、約10キロ太って戻ってきた。約3カ月トレーニングを続けて身体を絞り、本日約2年半振りにマウンドに戻ってきたのである。
ジャイアンツは初回、南海先発の清水秀雄から先頭の白石敏男がセンター右奥に二塁打、平山菊二は三振に倒れ、千葉茂の二ゴロの間に白石が三進、川上哲治の三塁内野安打が先制タイムリーとなって1-0とする。
南海は1回裏、先頭の岩出清がセンター右にヒット、澤村の復帰初戦は被安打でスタートした。続く藤戸逸郎が三前に送りバントを決めて一死二塁、ジャイアンツは水原茂が一昨日の試合途中で負傷してサードには楠安夫が入っているのでそこを狙ってきたようだ。国久松一の二ゴロの間に岩出は三進とここまではジャイアンツと同じ、吉川義次は四球を選ぶが清水は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。澤村は初回からピンチを迎えたが無失点で切り抜ける。
ジャイアンツは5回、先頭の白石の二ゴロをセカンド国久が一塁に悪送球、平山の遊ゴロをショート前田貞行がエラー、千葉の投ゴロをピッチャー清水が三塁に悪送球と3連続エラーで無死満塁、川上の左犠飛で2-0、中島治康は四球を選んで一死満塁、吉原正喜が左前に2点タイムリーを放って4-0とする。
南海は6回から先発の清水をファーストに回して劉瀬章を二番手としてマウンドに送る。
ジャイアンツは6回、先頭の楠が四球で出塁、澤村が右前打を放って無死一二塁、トップに返り白石が四球を選んで無死満塁、平山の中犠飛で5-0とする。
南海は9回、劉に代わる木村勉が右中間に三塁打、前田貞行は三振に倒れて一死三塁、トップに返り岩出は二ゴロに倒れて二死三塁、藤戸に代わる代打深尾文彦が中前にタイムリーを放って1-5とするが国久が右飛に倒れてゲームセットを告げるサイレンが高々と鳴り響く。
澤村栄治は寸前で完封こそ逃したものの9安打4四球3三振1失点の完投で1勝目をあげる。打撃でも第二打席に左前打、第三打席に右前打を放って4打数2安打を記録した。
南海では若い三人が臆することなく澤村に立ち向かった。前田貞行は4打数2安打で三塁打を2本放った。前田は海南中学から今年南海に入団(資料では海南中学-明大となっている。1921年生まれなので明大を中退して入団した可能性もあるが、明大にはプロ入り後兵役対策で在籍していた可能性もある。)してここまで38打数9安打で本日の2本の三塁打がプロ入り初の長打であった。木村勉も代打で三塁打を打った。木村は粉河中学(現・和歌山県立粉河高等学校)から昨年南海に入団、昨年は2打数無安打で今年もここまで5打数無安打であったが澤村からプロ入り初ヒットを放った。木村はこのヒットで自信を付けて今季46安打を記録することとなる。深尾文彦は京阪商業(現・大阪府立芦間高等学校)から今年南海に入団してここまで19打数2安打、澤村から放ったヒットがプロ生活最後のヒットとなった。通算1打点なので澤村の完封を打ち砕いた本日の打点が生涯唯一の打点となった。
*澤村栄治は復帰初戦を9安打4四球3三振の完投で飾る。
*澤村が2安打を放ったジャイアンツ打線。
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