2012年10月27日土曜日

15年 セネタースvsイーグルス 5回戦



6月14日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 1 0 0 0  1 セネタース  23勝13敗3分 0.639 浅岡三郎 金子裕 野口二郎
1 1 1 1 0 0 0 0 X  4 イーグルス 21勝16敗1分 0.568 長谷川重一

勝利投手 長谷川重一 6勝2敗
敗戦投手 浅岡三郎     7勝5敗

本塁打 (イ)谷 1号

勝利打点 谷義夫 5


セネタース、セカンドの穴を狙われる

 この試合ではセネタース内野陣に異変が起きている。セネタースのショートは開幕以来柳鶴震であったが、この試合のセネタースのスタメンはファースト柳鶴震、セカンド野口二郎、サード横沢七郎、ショート苅田久徳となっている。柳は今季プロ野球史上最多失策記録を樹立することとなるが、苅田監督も柳の守備対策を練っているようだ。但しこの試合ではセカンドを狙われることとなり、次の試合からはショートは柳鶴震が務めることとなる。柳が今季ショートのスタメンを外れるのはこの試合と12月1日、12月6日の三試合だけである。なお、当ブログでは「日本プロ野球私的統計研究会」様の「スタメンアーカイブ」を参照させていただいております。

 イーグルスは初回、先頭の好調・岡田福吉が中前打で出塁、岩垣二郎が二塁に内野安打、寺内一隆が一前に送りバントを決めて一死二三塁、中河美芳が四球を選んで一死満塁、谷義夫の投ゴロの間に三走岡田が還って1点を先制する。

 イーグルスは2回、一死後清家忠太郎の二ゴロを“セカンド”野口二郎がエラー、山田潔の右前打で一死一三塁、山田が二盗を決めて一死二三塁、岡田の三ゴロで三走清家は三本間に挟まれてタッチアウト、二死一三塁から岩垣が右前にタイムリーを放って2-0とする。

 イーグルスは3回、一死後谷がレフトスタンドにホームランを叩き込んで3-0とする。

 イーグルスは4回、先頭の山田が左前打で出塁、トップに返り岡田は左飛に倒れて一死一塁、セネタースはここで先発の浅岡をセカンドに回し、セカンドの野口をファーストに回し、ファーストの柳に代わり金子裕が入ってピッチャー、金子のワイルドピッチで山田は二進、岩垣は中飛に倒れるが、寺内の二ゴロを“セカンド”浅岡がエラーする間に二走山田が還って4-0とリードを広げる。

 セネタースは6回、先頭の“ショート”苅田が四球で出塁、一死後野口の三ゴロの間に苅田は二進、小林茂太の中前タイムリーで1-4とする。

 長谷川重一は7回以降セネタース打線を無失点に抑えて5安打7四球1死球無三振の完投で6勝目をあげる。


 谷義夫は5個目の勝利打点を記録して勝負強さを発揮しているが、この日の勝利打点は第二打席のホームランによるものではなく第一打席の投ゴロによるものである。


 イーグルスは苅田がショートに回って弱点となったセカンド方向を狙い打ちした。初回の無死一塁での岩垣二郎の二塁内野安打はセカンド野口二郎が二塁に送球したが間に合わなかったもので、2回の野口のエラーと4回の浅岡三郎のエラーも失点に結び付いた。結局、ショート柳鶴震のファーストコンバートはセカンド苅田久徳をショートに回して結果的にセカンドが穴になるという弊害を招いたこととなり、この日だけで終了することとなる。これが柳鶴震の年間失策記録に結び付く訳である。


 6月13日付け読売新聞は「沢東洋男審判の辞任」を伝えており、沢は近くイーグルスの監督に就任する予定である。沢東洋男は早稲田大学出身なので、河野安通志、山脇正治、杉田屋守と連なるイーグルスの早稲田閥である。河野はゼネラル・マネージャー(もちろん当時はGMの肩書はありません)、山脇は総監督、沢は監督、杉田屋は助監督となる。選手では岡田福吉と岩垣二郎が早稲田大学、太田健一が早稲田実業出身で、昨年限りで応召した望月潤一も早実出身である。










               *長谷川重一は120球で完投して6勝目をあげる。















*柳鶴震をファーストにコンバートしたセネタース打線。苅田久徳がショートに回った穴を狙われたため、次の試合から柳をショートに戻すこととなる。








 

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