１５年 イーグルスvs金鯱 ５回戦

6月3日 （月） 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 3 1 0 0 1 6 イーグルス １８勝１５敗１分 0.545 長谷川重一
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 金鯱 　　     １０勝２２敗２分 0.313 古谷倉之助

勝利投手 長谷川重一 ４勝２敗
敗戦投手 古谷倉之助 ３勝８敗

二塁打　（金）古谷
三塁打　（イ）谷

勝利打点　なし


谷義夫5打数3安打

　イーグルスは2回、寺内一隆、長谷川重一が連続四球、谷義夫の投ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、金鯱ベンチはここで早くも先発の内藤幸三を下げて古谷倉之助をマウンドに送る。竹内功が四球を選んで一死満塁、清家忠太郎の三ゴロの間に寺内が還って1点を先制する。

　金鯱は3回、一死後古谷が右中間に二塁打、トップに返り佐々木常助が中前に同点タイムリーを放って1-1とする。

　イーグルスは5回、先頭の岩垣二郎が右前打で出塁すると二盗に成功、中河美芳は一塁に内野安打、二走岩垣は三塁ベースを蹴ってホームに向かい、ファースト荒川正嘉からの本塁送球が悪送球となって2-1と勝ち越し、中河も三塁に進む。寺内は投ゴロに倒れるが長谷川が四球を選んで一死一三塁、谷義夫が右前にタイムリーを放って3-1として長谷川も三塁に進み、谷も二盗を決めて一死二三塁、竹内に代わる代打木下政文の右犠飛で4-1とする。

　イーグルスは6回、一死後岡田福吉が左前打を放って二盗に成功、岩垣の遊ゴロをショート濃人渉がエラーして一死一三塁、中河の遊ゴロの間に岡田が還って5-1とする。

　イーグルスは9回、先頭の岩垣の二ゴロをセカンド五味芳夫がエラー、中河がセンター右にヒット、寺内の投ゴロで中河は二封されて一死一三塁、長谷川の右飛をライト室脇正信が落球する間に岩垣が還って6-1とする。

　長谷川重一は4安打6四球6三振の完投で4勝目をあげる。翌日の読売新聞は「イ軍長谷川は制球よく特に投げ下すドロップの威力は全面的に金鯱打線を完封」と伝えている。


　谷義夫が5打数3安打1打点1盗塁、三塁打1本の活躍を見せる。谷は東邦商業の出身で今季イーグルスに入団、開幕当初から四番を任されていた強打者である。戦前は昭和17年までプロに在籍し、恐らく兵役と推測するがプロ野球を離れる。生き抜いて戦後は昭和23年に急映フライヤーズに入団することとなる。急映入りする前には名古屋の愛知産業に所属して昭和21年の都市対抗野球に出場している。1回戦の太洋倶楽部（函館市）戦では六番セカンドで出場して4打数1安打を記録して7対6で勝ち、準々決勝の全徳島戦でも六番セカンドで出場して3打数1安打を記録して3対2で勝ち、準決勝の全桐生戦では六番セカンドで出場して4打数無安打で3対4で敗れている。三位決定戦では全神戸と対戦して六番セカンドで出場して3打数1安打を記録して5対4で勝っている。

　戦前にプロに在籍して生き抜いて戦後プロに復帰する選手の多くは戦後間もなくはノンプロチームに所属していることが多い。谷義夫が準決勝で対戦した全桐生ではタイガースの皆川定之と青木正一が出場している。皆川も昭和23年に急映フライヤーズでプロに復帰することとなる。セネタースの名物キャッチャー佐藤武夫（岡崎中学出身）も谷と一緒に愛知産業で都市対抗に出場している。











　　　　　　　　　　　　　　　　　＊長谷川重一は4安打完投で4勝目をあげる。

＊谷義夫が5打数3安打を記録したイーグルス打線。谷は長谷川重一の3勝目の試合でも4打点を記録している。