2013年1月14日月曜日

15年 セネタースvsライオン 8回戦 満州リーグ


8月7日 (水) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計      
0 0 0 0 0 0 0 0 0  1  1 セネタース 36勝17敗7分 0.679 野口二郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 ライオン     16勝40敗3分 0.286 菊矢吉男

勝利投手 野口二郎 23勝6敗
敗戦投手 菊矢吉男   7勝15敗

勝利打点 佐藤武夫 4


野口二郎、今季7度目の完封で23勝目

 奉天では本日はセネタースがダブルヘッダーでライオンとタイガースと戦う。これだけ見るとセネタースに不利に見えますが、7月29日に全チームが奉天に到着して以降、タイガースは新京-大連-鞍山(中止)-新京-奉天と転戦しており推定移動距離は2,000キロ、ライオンは新京-鞍山(中止)-吉林(オープン戦)-奉天と転戦して推定移動距離は1,800キロ。一方、セネタースは奉天-新京を往復しただけで推定移動距離は600キロと九球団一の恵まれたスケジュールとなっています。


 セネタースは第一試合と第二試合のどちらに野口二郎を使うか注目を集めたがライオン戦に先発する。野口は肩を痛めているが、苅田久徳の自伝「天才内野手の誕生」によると「7月26日、吉林丸に乗船して満州へ移動する。その船中に、私がもぐり込ませた男がいた。・・・二郎の肩はほとんど半壊以上だった。そのとき、私にひらめいたのが“マッサージ”だった。大学時代から通っていた、そのマッサージ師に、二郎の肩の一部を任せようと思ったのだ。会社を口説いて、二百円特別出資してもらって、親子二人のマッサージ師をやとった。野口二郎専属治療係。いまでいうコンサルタントである。それがのちに、巨人軍のトレーナーとしてプロ野球に深くかかわることとなる小守親子だった。」とのことである。


 小守トレーナーの治療が効を奏したか野口二郎はライオン打線を無失点に抑える。初回、先頭の坪内道則に左前打を許すが戸川信夫を遊ゴロ併殺に打ち取る。2回は玉腰年男の中前打と広田修三の四球で二死一二塁とするが鬼頭政一を三振に打ち取る。3回~5回は三者凡退。6回、一死後坪内に左前打、村上重夫の三ゴロをサード横沢七郎が失して一死一二塁、しかし戸川、鬼頭数雄を連続二飛に打ち取る。7回は玉腰、菊矢吉男に連続中前打を許して無死一二塁、しかし広田の投前送りバントで玉腰を三封、鬼頭政一に代わる代打近藤久を三振、前田諭治を中飛に打ち取る。8回は二死から戸川に左前打を許すが鬼頭数雄を左飛、9回は三者凡退でここまで三塁を踏ませず無失点。

 菊矢吉男は野口以上の快投を見せた。9回までに許したヒットは6回の小林茂太の当り損ねの内野安打1本。四球も2個と快調なピッチングを見せて試合は0対0のまま延長戦に突入する。

 セネタースは10回、先頭の浅岡三郎が四球で出塁、柳鶴震が送って一死二塁、佐藤武夫の詰まった当りが三塁後方に落ちる間に浅岡が還って1点を先制する。

 野口二郎はライオンの10回裏の反撃を三者凡退に退けて5安打1四球4三振で今季7度目の完封、23勝目をあげる。菊矢吉男は10回を完投して2安打3四球6三振1失点、打たれたヒットは2本とも当り損ねであった。翌日の満州日日新聞は「菊矢にとっては真に不運な安打で、この日の2本の安打は何れも当り損ねたものばかり、これさえなければノーヒットノーランは疑いないものであった」と伝えている。









              *野口二郎は今季7度目の完封で23勝目をあげる。














     *当り損ねのヒット2本で勝利したセネタース打線。










 

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