8月1日 (木) 新京 児玉公園球場
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 2 0 1 0 4 0 0 8 タイガース 32勝22敗3分 0.593 木下勇 若林忠志
0 2 1 0 1 0 0 0 0 4 金鯱 14勝37敗7分 0.275 古谷倉之助 内藤幸三 中山正嘉 長尾貞利
勝利投手 若林忠志 11勝10敗
敗戦投手 中山正嘉 7勝18敗
二塁打 (タ)伊賀上、本堂、宮崎 (金)黒澤、濃人
三塁打 (金)古谷
勝利打点 宮崎剛 3
森国五郎、4打数4安打
満州は今日も雨だった。翌日の満州日日新聞は「開会以来の根深き雨はこの日も全満各地を襲い新京では午後3時開始予定の開会式は折からの驟雨にこれを中止、而も関屋副市長の始球式によって開始されたタイガース対金鯱の一戦も又々襲った驟雨に第三回中途にして一時小憩の已むなきに至れば」と伝えている。スコアカードには3回裏先頭打者の五味芳夫が四球で出塁したところで「雨のため5分休む」と記録されている。「驟雨」とはWikipediaによると「対流性の雲から降る雨のこと。しゅう雨。降水強度が急に変化し、降り始めや降り止みが突然で、空間的な雨の分布を見ても変化が大きく散発的であるのが特徴。特に、短時間で止むような一過性の驟雨をにわか雨という。」とのこと。奉天の2試合は雨天中止、大連は曇り空でした。
タイガースは初回、ジミー堀尾文人、皆川定之が連続三振に倒れるが本堂保次が四球を選んで出塁、伊賀上良平が左中間に先制タイムリーを放って1-0とする。
金鯱は2回、先頭の黒澤俊夫が四球で出塁、古谷倉之助が右中間に同点三塁打を放って1-1、室脇正信は投ゴロに倒れるが、漆原進が右前にタイムリーを放って2-1と逆転する。
タイガースは3回、先頭の堀尾が中前打、皆川が右前打を放って無死一三塁、金鯱ベンチは先発の古谷をファーストに回して内藤幸三をリリーフに送る。直後に重盗を決めて2-2の同点、本堂が左中間に二塁打を放ち皆川も還って3-2と逆転する。
金鯱は3回、先頭の五味芳夫が四球で出塁、ここでにわか雨のため5分間の中断があった。一死後濃人渉も四球を選び、黒澤の左前打で一死満塁、古谷の右犠飛で再び3-3の同点に追い付く。
タイガースは4回、一死後森国五郎がセーフティバントを決めて出塁、金鯱ベンチはここでキャッチャーを福永一馬から松元三彦に交代、福永は吉林丸の船中で開かれた理事会で登録が承認されて本日がプロ入り初出場であった。木下勇に代わる代打山根実が四球を選んで一死一二塁、しかし堀尾は左飛、皆川は三振に倒れる。
タイガースは先発の木下に代打を出したので4回裏から二番手として若林忠志をマウンドに送る。
タイガースは5回、一死後伊賀上が四球で出塁、カイザー田中義雄は右直に倒れるが伊賀上が二盗を決めて二死二塁、松木謙治郎が中前にタイムリーを放って4-3とリードする。
金鯱は5回裏、一死後森田実が左前打で出塁するが二盗に失敗、しかし濃人がセンター右にヒット、黒澤が左中間にタイムリー二塁打を放って4-4と三度追い付く。しかし黒澤が若林の牽制球に刺されてスリーアウトチェンジ。
タイガースは7回、先頭の本堂の遊ゴロをショート濃人がエラー、伊賀上が四球を選び、田中が送って一死二三塁、松木が四球を選んで一死満塁、ここで宮崎剛が右中間に二塁打を放って6-4、森の左犠飛で7-4、若林が左前にタイムリーを放って8-4として勝負を決める。
タイガースは13安打を放って8得点。森国五郎が5打席4打数4安打を記録した。但し4本のヒットが出たイニングでは得点は入らず、唯一ヒットでなかった7回の左犠飛により1打点を記録した。
一方、金鯱打線も12安打を放ったが4得点に終わった。漆原進が4打数3安打の猛打賞であった。
ロングリリーフとなった若林忠志は6イニングを8安打無四球2三振1失点で11勝目をあげる。翌日の満州日日新聞・武田尚昌の戦評たによると「金鯱は・・・老巧若林のチェンジ・オブ・ペースに眩惑されて」、翌日の読売新聞・宮島武夫の論評によると「金鯱は4回より代わった若林の老巧な投球術に遭って安打こそあったが散発に終わり」とのことである。
*ロングリリーフの若林忠志が11勝目をあげる。
*森国五郎が4打数4安打を記録したタイガース打線。
*漆原進が4打数3安打を記録した金鯱打線。
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