当ブログではスコアブックの解読と並行して当時の新聞スクラップの記事を参考にしています。お気付きのとおり、満州リーグでは読売新聞と共に満州日日新聞の記事も参照させていただいております。当ブログが参照しているスクラップは野球体育博物館の図書室に保管されている河野安通志によるスクラップブックのコピーです。同館の図書室で閲覧できる当時のスクラップブックは“鈴木龍二寄贈”となっていますが、これは河野安通志の死後鈴木龍二が河野の遺族から買い取ったもので、それが野球体育博物館に寄贈され、我々が目にできるのはそのコピー版となります。
本日のニュースで夏目漱石が満州日日新聞に寄稿した随筆が発見されたとのことです。発見者の作家・黒川創氏は韓国を訪問した際現地の本で発見して、国立国会図書館所蔵のマイクロフィルムで確認したとのことです。歴史研究のプロセスとして正しい方法だと思います。書籍を読むことはもちろん重要ですが、書かれている内容を鵜呑みにするのではなく、原データで確認、検証する作業が重要であると考えます。
満州日日新聞の記事は読売新聞よりも情報量が多く貴重な資料ではありますが、試合経過の記述には誤りが数多く見られます。記事の佼成係りがスコアブックの読み方を良く理解していないのではないかと疑われるレベルの間違いが多く見られます。満州日日新聞で満州リーグの模様を研究する際にはご注意ください。真実は当ブログにあります。
満州日日新聞の試合経過の記事の誤りを2事例ご紹介します。
*8月5日の南海vsイーグルス戦で9回裏、イーグルスが奇跡の逆転勝利を収めた場面。
満州日日新聞には「亀田の投ゴロ併殺を狙う岩垣の俊足は本塁を陥れて同点、尚おウィニング・ラン谷を二塁に置いて中河が一塁側に平凡なゴロを放つと政野投手は中河の背中に送球を当てて生かす間に谷勇躍ホームイン」と書かれています。
しかし、無死満塁で亀田忠の投ゴロは「1-2-3」と渡ってゲッツーとなりましたが二走岩垣は三塁に止まっており、中河の一塁線ゴロを捕ったピッチャー政野の送球が中河の背中に当たる間に三走岩垣に続いて二走谷もホームインしたのが真相です。
スコアカードには二番・岩垣と三番・谷のホームインは共に「e’]によるものと書かれています。「e」は五番打者・中河の記号です。四番・亀田の投ゴロ併殺の際、二走岩垣は三塁で止まっています。三塁に「d」と書かれています。「d」は四番・亀田の記号です。
*8月3日タイガースvsジャイアンツ戦3回裏ジャイアンツ攻撃の場面。
満州日日新聞には「吉原二飛失、スタルヒン三邪飛」と書かれていますが、正しくは「吉原捕飛失、スタルヒン捕邪飛」です。これは簡単ですね。
同様の間違いが他にも数多く見られますのでご注意ください。
0 件のコメント:
コメントを投稿