2013年1月1日火曜日

幻の開幕戦



 昭和15年7月30日、午後3時より奉天 満鉄球場にて全選手による入場式が行われた。この日は開幕カードとして午後4時からセネタースvs南海8回戦、第二試合として名古屋vsタイガース8回戦が予定されていたが雨天のため中止となった。8月1日付け満州日日新聞によると、澤村栄治とスタルヒンは入場式に出られなかった。澤村は「大連上陸直後名誉の出征中に罹った病気の再発を心配して慎重な態度をとって静養」、スタルヒンは「満州国の出入国査証手続きのためこれ亦一行より遅れたもの」とのことである。


 澤村は戦地でマラリアに罹患したとも言われているが、最初の出征は中国戦線だったので、マラリアに罹ったのは二度目の出征における南方でのことであるとも考えられるが中国戦線で罹患していたのかもしれない。スタルヒンは無国籍なのでアメリカ遠征でも入国手続きに手間取ったことが確認されている。主催の満州日日新聞としては人気選手の不出場は遺憾だったようで、「“両投手とも速やかに巨人軍選手団に参加せしめ、在満ファンにお目見得する”と巨人側から説明して両選手問題は聯盟側も了承し」と伝えている。



 第一試合に予定されていた南海vsセネタース8回戦のスターティングラインアップがスコアブックに残されていますので写真を掲載します。今となっては貴重な資料です。


        *南海打線





        *セネタース打線







 

0 件のコメント:

コメントを投稿