2012年1月14日土曜日

14年 金鯱vsタイガース 8回戦


8月17日 (木) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
3 0 2 0 1 0 0 0 0  6  金鯱          22勝36敗2分 0.379 磯部健雄 鈴木鶴雄 中山正嘉 大宮清
3 3 0 0 0 4 0 1 X 11 タイガース 38勝19敗2分 0.667 若林忠志 景浦将


勝利投手 景浦将        1勝1敗
敗戦投手 中山正嘉 16勝11敗


二塁打 (金)野村 (タ)本堂、伊賀上2、松木
三塁打 (金)磯部、野村 (タ)松木


景浦将、久々の剛球


 金鯱は初回、先頭の五味芳夫が四球を選んで出塁、濃人渉の遊ゴロでランナーが入れ替わり、野村高義四球、小林利蔵も四球を選んで一死満塁、タイガース先発の若林忠志が珍しくコントロールを乱した。小林茂太の投ゴロは若林からキャッチャー門前真佐人に送球されて三走濃人は本封、二死満塁の場面で磯部健雄が右中間に走者一掃の三塁打を放って3点を先制する。

 タイガースは1回裏、松木謙治郎の右翼ライナーをライト小林茂太がエラー、本堂保次が左翼線に二塁打を放って無死二三塁、ジミー堀尾文人が四球を選んで無死満塁、景浦将が左翼線に2点タイムリーを放って2-3、門前の左飛をレフト野村がエラーする間に堀尾が還って3-3の同点に追い付く。金鯱先発の磯部は初回に自らのバットで叩き出した3点を守ることはできなかった。

 タイガースは2回、先頭の伊賀上良平が左越えに二塁打、金鯱は先発の磯部から二番手鈴木鶴雄にスイッチ、トップに返り松木が右中間に三塁打を放って4-3、本堂の遊ゴロの間に松木が還って5-3、堀尾の遊ゴロをショート濃人が一塁に悪送球する間に堀尾は二塁に進み、二死後門前の中前タイムリーで堀尾が還って6-3とする。

 粘る金鯱は3回、先頭の濃人が四球を選んで出塁、野村が右中間に三塁打を放って4-6、小林利蔵四球で無死一三塁、小林茂太の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレーが完成する間に三走野村が還って5-6とする。この場合小林茂太には打点は記録されない。昭和14年4月22日から適用されたルール改正以前はダブルプレーの間に三塁ランナーが生還しても打者に打点が記録されていたが、ルール改正でダブルプレーの場合は打点が記録されないこととなった。ところがこれまでのスコアブックにはルール改正後もダブルプレーで三塁ランナーが生還すると打者に打点が記録されてきた。本日の小林茂太には打点は記録されていないがかすかに訂正したと思われる痕跡が残っている。恐らく戦後になってスコアブックを転記する際に、ルール改正のことを知らない者が転記作業を行ったためこのようなことが起こっているのではないでしょうか。

 若林不調と見たタイガースは4回から若林を下げてライトから景浦がマウンドに上がり、ライトには森国五郎が入る。景浦は4回の金鯱の攻撃を三者凡退に抑える。

 金鯱は5回、先頭の五味が四球を選んで出塁、濃人の投ゴロでランナーが入れ替わり、野村の右翼線二塁打で濃人が一塁から生還して6-6の同点に追い付く。
 同点に追い付いた金鯱は5回から三番手に現在10連勝中の中山正嘉を注ぎ込む。中山は5回、二死満塁のピンチを迎えるが堀尾を遊ゴロに打ち取り連続自責点ゼロ記録を55イニングスに伸ばした。

 タイガースは6回、先頭の景浦が中前打で出塁、門前も中前打を放って無死一二塁、キャッチャー中村輝夫の二塁牽制が悪送球となる間に二者進塁して無死二三塁、森の右犠飛で景浦が還って7-6、景浦はエラーで進塁しているので自責点は付かない。二走門前もタッチアップから三塁に進んで一死一三塁、皆川が右前にタイムリーを放って8-6、門前もエラーによる進塁があるので自責点にはならない。一走富松は三塁に達して一死一三塁、伊賀上は浅い右飛に倒れて二死一三塁、トップに返り松木が左中間に二塁打を放ち富松に続いて一走皆川もホームに還って10-6とする。ここで中山には自責点2が記録されて連続自責点ゼロ記録は55回3分の2で途切れる。ところがスコアブックを見ると当初はこの2点も自責点では無いと記録されていたようであるが後に訂正されている痕跡が認められる。但し中山の今季の記録に反映されているかは不明で、中山の今季の全投球内容を洗い直してみないと結論は出ません。

 金鯱は8回から中山に代えて四番手として大宮清を投入する。タイガースは8回、先頭の森が右翼線にヒット、皆川が左前打、伊賀上が左翼線にタイムリー二塁打を放って11-6と突き放す。


 4回からリリーフに出た景浦将は6回を投げて3安打2四球1三振1失点の好投を見せる。球質の重いナチュナルシュートが決まったようだ。8回、9回と名手皆川のエラーでランナーを背負うが何れも「6-4-3」、「5-4-3」のダブルプレーで切り抜けている。

 敗戦投手となった中山正嘉は10連勝でストップした。







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