2012年1月15日日曜日

14年 阪急vs名古屋 8回戦


8月18日 (金) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
6 0 0 1 1 0 0 0 0 8 阪急   41勝19敗       0.683 荒木政公
0 0 0 0 0 0 0 1 2 3 名古屋 21勝35敗3分 0.375 松尾幸造 大沢清


勝利投手 荒木政公 7勝1敗
敗戦投手 松尾幸造 4勝9敗


二塁打 (阪)山田 (名)鈴木
三塁打 (名)三浦
本塁打 (名)服部 2号

荒木政公、完投で7勝目


 松尾幸造は又もストライクが入らなかった。阪急は初回、先頭のフランク山田伝が四球を選んで出塁、二盗を決めて、ワイルドピッチで三進、浅野勝三郎は三振に倒れるが黒田健吾が四球を選んで一死一三塁、山下好一の遊ゴロをショート村瀬一三がエラーする間に山田が還って1点を先制する。上田藤夫が右前にタイムリーを放って2-0、日比野武の遊ゴロを村瀬が又もエラーして無死満塁、石井武夫の押出し四球で3-0、林信一郎も押出し四球を選んで4-0、荒木政公のピッチャー強襲ヒットで5-0、トップに返り山田は三振に倒れて二死満塁、パスボールで6-0とする。

 この試合の名古屋ベンチの様子を取材した鈴木惣太郎の記事が翌日の読売新聞に掲載されている。「名古屋のベンチは悲憤と憤慨と無念というような複雑な感情が錯綜して鼎の沸る如く(「鼎の中の湯が沸き返るように、物事が混乱して騒がしいさま」と言う意味のようです=筆者注)に騒然としていた。その真ん中に陣取った中村二塁手は味方の不甲斐なき総崩れに憤慨して語気頗る荒く松尾投手をつかまえて『ストライクの出ないような投手は駄目だ、毎日同じような事をやってるなら練習なんか止めてしまえ』と極めつけていたが松尾は憤然としてベンチの後方に黙していた。こうした悲憤憤慨は決して人を憎む悪意を持つものではないし語気こそ粗暴であるがかくの如きこそ真実僚友を思いチームを思い、而して野球を思うあまりの発露であり松尾もこれによって大いに発奮すべきであるし名古屋全軍も心機を一転して将来懸命の努力をつくさねばならない。」

 名古屋は2回からファーストの大沢清がマウンドに上がりキャッチャー三浦敏一がファーストに入りキャッチャーに服部受弘を入れる。

 阪急は4回、先頭の山田が左前打で出塁、二死後二盗に成功して山下好一四球で二死一二塁、上田が右前にタイムリーを放って7-0。更に5回、先頭の石井が中前打で出塁、二死後山田が四球、浅野が右翼線にタイムリーを放って8-0とリードを広げる。

 7回まで荒木政公の前に2安打に抑えられてきた名古屋は8回、一死後服部がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで1-8とする。

 名古屋は最終回、一死後大沢清が四球を選んで出塁、岩本章の三ゴロで大沢が二塁に進んで二死二塁、三浦がセンター右奥に三塁打を放って2-8、ベンチで檄を飛ばした中村三郎が左前にタイムリーを放って3-8、しかし芳賀直一が中飛に倒れて試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。第二試合に予定されていたイーグルスvsセネタース戦は雨のため中止となった。

 荒木政公は5安打2四球4三振の完投で7勝目をあげる。


 名古屋は完敗ではあったが2回以降態勢を立て直し、終盤は見事な反撃を見せている。名古屋は7月14日以降8月16日までの14戦は7勝7敗であったが7敗は全て完封負けと言う状況が続いていた。本日も荒木に完封されてもおかしくはない流れであったが終盤粘りを見せた。中村三郎の「檄」は無駄ではなかったのである。






            *荒木政公は5安打完投で7勝目をあげる。



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