2012年1月28日土曜日

14年 名古屋vsライオン 8回戦


8月25日 (金) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 3 0 0 3 名古屋   23勝37敗3分 0.383 松尾幸造
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 ライオン 21勝36敗5分 0.368 菊矢吉男


勝利投手 松尾幸造    5勝9敗
敗戦投手 菊矢吉男 12勝14敗


二塁打 (名)三浦 (ラ)西端
本塁打 (名)中村 2号


松尾幸造、中村三郎の檄に応える


 名古屋の先発は18日の阪急戦で初回に4四球を出して1回6失点で降板した松尾幸造。

 ライオンは初回、先頭の坪内道則が四球を選んで出塁、松尾は又もストライクが入らないのか。西端利郎が一塁線に送りバントを決めて一死二塁、水谷則一の左前打で一死一三塁、鬼頭数雄の右犠飛で1点を先制する。

 松尾は3回も先頭の松岡甲二を四球で歩かせるが後続を断つ。5回も先頭の玉腰年男を四球で出すがキャッチャー三浦敏一の一塁牽制で玉腰はタッチアウト。しかし井筒研一に代わる代打山本尚敏にも四球、松岡の一塁内野安打で一死一二塁とされるが菊矢吉男を遊ゴロ併殺に打ち取り何とか切り抜ける。

 名古屋は7回、先頭の加藤正二が四球を選んで出塁、三浦が左翼線に二塁打を放って無死二三塁、ここで中村三郎がレフトスタンドに決勝の逆転スリーランホーマーを叩き込んで3-1とする。

 松尾幸造は7安打6四球4三振の完投で5勝目をあげる。菊矢吉男は松尾に優るピッチングで9回を完投して6安打3四球6三振であったが中村三郎の一発に泣いた。


 18日の阪急戦では中村三郎が松尾幸造に対して「ストライクの出ないような投手は駄目だ、毎日同じような事をやってるなら練習なんか止めてしまえ。」と檄を飛ばし、鈴木惣太郎は「松尾は憤然としてベンチの後方に黙していた。こうした悲憤憤慨は決して人を憎む悪意を持つものではないし語気こそ粗暴であるがかくの如きこそ真実僚友を思いチームを思い、而して野球を思うあまりの発露であり松尾もこれによって大いに発奮すべきであるし名古屋全軍も心機を一転して将来懸命の努力をつくさねばならない。」と論評した。

 本日の松尾のピッチングは中村三郎の檄に応えたものと言える。そしてその松尾の必死のピッチングに中村三郎が逆転スリーランで応えたものである。

 翌日の読売新聞に掲載された鈴木惣太郎の論評は「中村は前日にも本塁打しているが彼は技量以上にものありとは思われない。併し彼には気概において著しく優れたものがあり、これが大事に際してかくの如き殊勲を樹てる動機となっている点は大いに敬服すべきものである。」というものであった。




     *松尾幸造は6四球を出したものの懸命の投球で5勝目をあげる。








            *中村三郎が7回に逆転スリーランを打った場面。


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