2012年1月7日土曜日

14年 タイガースvs阪急 8回戦


8月13日 (日) 横浜


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 1 0 0 0 3 タイガース 36勝18敗2分 0.667 若林忠志
3 0 0 0 0 0 2 0 X 5 阪急       39勝18敗      0.684 森弘太郎


勝利投手 森弘太郎 2勝1敗
敗戦投手 若林忠志 9勝3敗


二塁打 (阪)浅野、山下好、黒田
三塁打 (タ)若林

ポロリとファンブル


 首位ジャイアンツを追う両チームにとって負けられない一戦。タイガースは若林忠志、阪急は森弘太郎が先発。

 タイガースは初回、先頭の松木謙治郎が右前打で出塁、富松信彦の遊ゴロはショート上田藤夫からセカンド林信一郎に送球されるがこれを林がポロリ、続く門前真佐人の一塁線送りバントをファースト石井武夫がファンブル、景浦将の投ゴロは「1-2」と渡って松木は本封、ジミー堀尾文人の遊ゴロをショート上田藤夫がエラーする間に三走富松に続いて二走門前も還り2点を先制する。堀尾には1打点が記録されている。

 阪急は1回裏、先頭のフランク山田伝がセンター右にヒット、浅野勝三郎が左中間にタイムリー二塁打を放って1-2、黒田健吾が四球を選んで無死一二塁、山下好一の一ゴロで黒田が二封されて一死一三塁、ここで山下好一がディレードスチールを敢行、キャッチャー門前真佐人が二塁に送球すると三走浅野がスタートの構え、セカンド岡田宗芳は三塁に送球して浅野を三本間に挟みサード伊賀上良平から門前に送球されて浅野はタッチアウト。この展開でなければ「2.4.5-2」は説明できません。この間に一走山下好一は二塁に進んでいますが盗塁は記録されていません。すなわち山下好一はタイガース守備陣のミスを誘うためにディレードスチールを試み、三本間挟殺プレーの間に二塁に進塁したと判定された訳です。と言うことで二死二塁で試合再開、上田藤夫が右前にタイムリーを放って2-2の同点、上田はバックホームの隙を突いて二塁に進み、日比野武の遊ゴロをショート皆川定之が一塁に悪送球する間に上田が還って3-2と逆転に成功する。

 2回以降はタイガース・若林忠志、阪急・森弘太郎の好投で落ち着いた展開。

 タイガースは6回、先頭の岡田が四球を選んで出塁、皆川が送って一死二塁、若林の二ゴロの間に岡田は三進、伊賀上が中前にタイムリーを放って3-3の同点に追い付く。

 阪急は7回、先頭の山田が四球を選んで出塁、浅野が送って一死二塁、黒田が左中間に二塁打を放って4-3と勝ち越し、山下好一が右翼線にタイムリーを放ち5-3とする。

 タイガースは8回、二死後若林が中越えに三塁打を放つが続く伊賀上は二飛に倒れてスリーアウトチェンジ。9回も森弘太郎に三者凡退に抑えられて大事な一戦を阪急がものにする。

 森弘太郎は4安打3四球2三振の完投で2勝目をあげる。


 若林忠志は8回を完投して10安打3四球2三振。若林は4月8日に2敗目を喫して以来8連勝を続けてきたが約4か月ぶりの敗戦投手となった。なお、若林は4回の表二死一塁の場面で右前打を放って二死一三塁から二盗を記録しているが、これは今季唯一の盗塁である。


 タイガース1回の攻撃を翌日の読売新聞は「・・・富松の遊ゴロを封殺しようとした林がポロリと落し、次で門前の一塁バントを石井がファンブル・・・」と伝えている。昭和14年には既に「ポロリ」、「ファンブル」という表現が使われていたようです。現代風には「ポロリとやって」となるでしょうが当時は「ポロリと落し」とより直接的です。「ファンブル」は田河水泡の「のらくろ」にも登場します。猛犬聯隊(連隊)で対抗野球試合があり、のらくろの僚友ハンブル(ブルドッグとの雑種で半分ブルドッグ)がエラーした時、「ハンブルがファンブルした」という表現があったと記憶しています。





*若林忠志が第二打席でヒットを放って出塁し、二盗「O’」を記録した場面。若林が記録した盗塁は今シーズンはこの一個だけ。昭和12年~24年でも合計17個しか記録していません。






               *森弘太郎は完投で2勝目をあげる。



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