１５年 阪急vsイーグルス ９回戦 満州リーグ

8月23日 （金） 奉天　満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 3 0 1 0 0 0 0 5 阪急           ４１勝２６敗５分 0.612 浅野勝三郎 石田光彦
3 0 0 0 3 0 1 1 X 8 イーグルス ３５勝３３敗４分 0.515 玉腰忠義 中河美芳

勝利投手 中河美芳   ６勝１０敗
敗戦投手 石田光彦 １１勝９敗

二塁打　（阪）中島、新富　（イ）谷、長谷川
三塁打　（阪）上田　（イ）岩垣、中河
本塁打　（イ）木下　１号

勝利打点　長谷川重一　２


木下政文、場外ホームラン

　いよいよ満州シリーズも公式戦最終日を迎えた。

　イーグルスは初回、一死後岩垣二郎が右中間に三塁打、太田健一が中前に先制タイムリーを放って1-0、中河美芳がセンター右奥に三塁打を放って2-0、中継のショート田中幸男が悪送球する間に中河が一気に生還して3-0、鮮やかな先制攻撃であった。

　阪急は2回、一死後黒田健吾の三ゴロをサード竹内功がエラー、新富卯三郎が四球を選んで一死一二塁、田中幸男が中前にタイムリーを放って1-3とする。

　阪急は3回、一死後フランク山田伝が左前打で出塁、山下好一は四球、井野川利春は左飛に倒れるが、黒田が四球を選んで一死満塁、新富が左中間に逆転の走者一掃二塁打を放って4-3とする。

　阪急は4回途中から先発の浅野勝三郎に代えて石田光彦をマウンドに送る。

　阪急は5回、先頭の井野川が三塁に内野安打、黒田が四球を選んで無死一二塁、イーグルスベンチはここで先発の玉腰忠義をあきらめて中河美芳をリリーフに送る。新富の三ゴロをサード竹内が二塁に悪送球する間に井野川が還って5-3と突き放す。

　イーグルスは5回裏、一死後岡田福吉が四球で出塁するがピッチャー石田の牽制に釣り出されてタッチアウト、しかし岩垣が四球から二盗に成功、太田も四球を選んで二死一二塁、中河が左翼線にタイムリーを放って4-5、長谷川重一が中越えに逆転の2点タイムリーを放って6-5として試合の主導権を握る。

　イーグルスは7回、先頭の岡田が左前打からワイルドピッチで二進、太田の二ゴロの間に岡田は三進、中河が中前にタイムリーを放って7-5とする。　

　イーグルスは8回、一死後木下政文が左翼にホームラン、8-5と突き放す。翌日の満州日日新聞は「木下奉天球場最初の本塁打を左翼柵外に飛ばして」と伝えている。木下の打球は奉天　満鉄球場の場外に消えたようだ。

　5回途中からマウンドに上がった中河美芳はスローカーブで阪急打線を翻弄し、5イニングを投げて2安打1四球2三振無失点で6勝目をあげる。打っても4打数3安打2得点3打点、三塁打1本の活躍であった。一方、満州リーグで好投を続けてきた石田光彦は4回3分の2を投げて5安打3四球5失点、自責点5と崩れた。


　奉天　満鉄球場での試合は8月14日以来のこととなる。満州リーグでは前半戦は再生ボールが使われており、16日から皮制ボールが使われて活発な打撃戦が繰り広げられてきた。奉天では本日が初の皮制ボールでの試合となり、木下政文が場外ホームランをかっ飛ばすなど、両軍合わせて長打8本が入り乱れる激しい打ち合いとなった。翌日の満州日日新聞も「この日初めて奉天でも飛ぶボールを使用した」と伝えている。








　　　　　＊中河美芳が3安打3打点、木下政文が場外ホームランをかっ飛ばしたイーグルス打線。