公式戦最終日となった8月23日には鞍山 昭和製鋼球場でも金鯱vs名古屋による帯同試合(オープン戦)が行われました。名古屋は河村章-大沢清のリレー、金鯱は内藤幸三が完投しています。島秀之助、倉信雄の両氏審判により午後5時14分試合開始、6時30分試合終了となっています。翌日の満州日日新聞によると「前夜来の降雨でグラウンド軟弱・・・両軍とも満州公式リーグの全試合を終ったこととてこれまで公式リーグの中間に行われた帯同試合の味気なさもなくのびのびした気分が反映して」とのことです。試合は名古屋が初回2点を先制しますが金鯱は3回、五味芳夫の二塁打から濃人渉がタイムリーを放ち、4回には敵失で2点をあげて3対2で金鯱が勝利しています。
8月24日には錦縣 満鉄球場でタイガースvsイーグルス、安東 満倶球場でライオンvs阪急、鞍山 昭和製鋼球場でセネタースvs南海の帯同試合が行われ、更に新京 児玉公園球場では名古屋vsジャイアンツによる関東軍献金試合が行われています。
錦縣では金政卯一主審、片岡勝塁審の両氏審判により午後4時57分試合開始、6時2分試合終了となっています。タイガースは藤村隆男が完投、イーグルスは長谷川重一が完投。試合はイーグルスが7回に1点を先制しましたが、タイガースがその裏3点をあげて逆転して3対1で勝利しました。
安東では倉信雄主審、吉田要塁審の両氏審判により午後4時52分試合開始、6時4分試合終了となっています。阪急は石田光彦が完投、ライオンは山本尚敏と井筒研一の継投。阪急は初回、上田藤夫が四球で出塁して山下好一のタイムリー二塁打で1点を先制。ライオンは6回、4つの四球で1-1の同点に追い付きますが阪急はその裏、上田以下の3安打と2失策で3点、7回にも2点を追加して6対1で勝利しました。
鞍山では川久保喜一、島秀之助の両氏審判(組合せは不明)により午後5時25分試合開始、6時58分試合終了となっています。昨日の雨から一転して晴天に恵まれ、超満員の観客を集めました。セネタースは3回に高橋輝彦が右翼にホームランを放つなど、天川清三郎、劉瀬章、政野岩夫の3投手から19安打12点を奪う猛攻で圧勝します。南海は最終回、岩本義行がレフトにツーランホームランを放って零封を免れ、セネタースが三富恒雄-西岡義晴のリレーにより12対2で勝利しました。ホームランを放った高橋輝彦は昭和11年のセネタースでは苅田久徳、中村信一と共に“百万ドル内野”を形成した名三塁手ですが11年限りで応召し、満州リーグで復帰したばかりです。岩本義行も南海結成時に主将として入団しますが兵役のため一試合も出場しないまま戦場に送られて満州リーグで復帰しました。
新京 児玉公園球場では名古屋vsジャイアンツによる関東軍献金試合が行われました。二出川延明主審、横沢三郎塁審、杉村正一郎塁審による三氏審判で午後5時23分試合開始、6時30分試合終了となっています。名古屋の先発は「森井」となっていますので「森井茂」のことでしょう。古くから当ブログをお読みいただいている方には懐かしい名前でしょう。森井茂も13年秋に応召して復帰してきた模様です。昭和15年の公式戦では11月9日のジャイアンツ戦で1試合だけ登板することとなりますが満州でも登板していました。ジャイアンツは7回、森井をリリーフした岡本敏男から白石敏男の三塁打などで5点を奪い、先発の中尾輝三が完封して5対0で勝利しました。ジャイアンツは森井茂のスローカーブに手を焼いて得点できなかったようです。試合終了後、献金式が行われ、同日入場した3,658人の売上金2,706円50銭が赤嶺聯盟理事、松岡本社(満州日日新聞社=筆者注)取締役より長谷川関東軍報道班長に手交献金されました。
帯同試合及び関東軍献金試合はスコアカードが残されていませんので翌日の満州日日新聞に基づいています。
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