2011年5月8日日曜日

13年秋 阪急vs南海 4回戦

10月22日 (土) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 0 0 0 0 0 3 阪急 16勝6敗2分 0.727 重松通雄
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 7勝18敗2分 0.280 政野岩夫


勝利投手 重松通雄 3勝0敗
敗戦投手 政野岩夫 3勝4敗


二塁打 (阪)黒田 (南)高野


重松通雄、3安打完投


 初回の無死一二塁のチャンスを併殺で逃した南海は2回、この回先頭の高野百介が右翼線に二塁打、中田道信の二ゴロで三進、政野岩夫が中犠飛を打ち上げて1点を先制する。

 阪急は3回、この回先頭の大原敏夫が中前打で出塁、重松通雄が右前打で続いて無死一二塁、西村正夫が送って一死二三塁、フランク山田伝の右前タイムリーで二者還って2-1と逆転に成功、山田もライト海蔵寺弘司からのバックホームの間に二塁を陥れる。更に山田が三盗を決めて一死三塁、黒田健吾の左前タイムリーで3-1する。


 阪急は4回以降5安打を放つが追加得点は奪えず。一方、南海も3回以降重松の下手投げに翻弄されて鈴木芳太郎の内野安打1本二抑えられる。

 重松通雄は3安打2四球4三振の完投で無傷の3勝目をああげる。

 阪急は首位ジャイアンツに2.5ゲーム差、明日23日にジャイアンツとの決戦を控えている。


 翌日の読売新聞には三宅正夫記者の論評として「この日の阪急に於いて3回右翼へのプレース・ヒットの成功と山田の敢行した三盗の積極的攻法は賞讃される・・・」という記述が見られる。3回の右前打は重松通雄と山田伝が記録している。「プレース・ヒット」とは「野手のいない所を狙い打つ打法」と解されているが、実際にそんなことができる打者は歴史上ウィリー・キーラーのみであり、現実的にはバントの構えからのヒッティングを意味している可能性が高い。現在で言う「バスター」となる訳であるが、野球体育博物館に常設展示されているウィリー・キーラーのバットは極めて短いものであり、残されている写真からもキーラーはその短いバットを更に四握りほど短く持って構えていたのでほとんどバスターに近いバッティングであったと想像される。野手が前に来れば野手の頭上を狙い、野手が下がればそのままバントするという打法であったと伝えられている。「野手のいない所に打て」という言葉が有名であるが、そんなことができれば誰でも四割に挑戦できる。

 昭和48年夏の甲子園1回戦、怪物江川に対した柳川商業はバントの構えからのヒッティングで江川を苦しめ延長15回まで持ち込み敗れています。この時の打法は「プッシュ打法」と呼ばれています。要は構えを小さくして鋭く振り抜くバッティングの事を総称て「プレース・ヒット」と呼べばよいのでしょう。バスターはバントシチュエーションで野手にバントシフトをとらせてヒットゾーンを広くする効果を狙うもので、ランナーのいない時には用い辛い用語となります。

 結論としては無死一塁のバントシチュエーションでの重松の右前打は「バスター」、一死二三塁でヒットの欲しいシチュエーションでの山田伝の右前打は「プレース・ヒット」と使い分けるべきでしょう。但し「バスター」と言う用語が発明されたのは1970年代であったのではないかと言う考察は以前にもどこかでやりました。

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