2013年2月7日木曜日

15年 セネタースvs阪急 8回戦 満州リーグ


8月14日 (水) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 セネタース 37勝21敗8分 0.638 三富恒雄
0 0 0 0 0 0 0 5 X 5 阪急          37勝24敗4分 0.607 森弘太郎

勝利投手 森弘太郎 21勝8敗
敗戦投手 三富恒雄   3勝4敗

二塁打 (セ)三富 (阪)森田
三塁打 (阪)山下好

勝利打点 黒田健吾 7


決勝スクイズ

 セネタースは野口二郎が依然として投げられず三富恒雄が先発、阪急はエース森弘太郎が先発する。

 セネタース打線は7回まで森に2安打に抑えられて無得点。

 阪急は2回、一死後山下好一が左前打、新富卯三郎が中前打、日比野武が右前打を放って一死満塁とするが下村豊は浅い右飛、森は中飛に倒れて無得点。3回以降は三富に1安打に抑えられて無得点が続き、7回を終わって0対0。

 セネタースは8回、一死後柳鶴震が三塁に内野安打、キャッチャー日比野からの一塁牽制が悪送球となって一死二塁、佐藤武夫は捕邪飛に倒れるが三富が右中間に二塁打を放って1点を先制、織辺由三は四球、トップに返り苅田久徳の三飛をサード黒田健吾がエラーして二死満塁、横沢七郎の中前打で2-0、二走織辺も三塁ベースを蹴ってホームを狙うがセンターフランク山田伝からのバックホームにタッチアウト、記録は「8-2」。

 阪急は8回裏、一死後下村が中前打、森が四球を選んで一死一二塁、トップに返り中島喬の二塁内野安打で二走下村が還って1-2、田中幸男に代わる代打森田定雄が左翼線に二塁打を放って2-2の同点、山田が四球を選んで一死満塁、黒田が投前に決勝スクイズを決めて3-2と逆転、山下好一が右翼線に三塁打を放って5-2とする。

 森弘太郎はセネタース最終回の攻撃を三者凡退に退けて、5安打1四球1三振2失点、自責点ゼロの完投で21勝目をあげる。


 この試合は7回まで0対0が続いたが、翌日の読売新聞は「奉天だけは反発力の悪いボールを使っているため安打性の当りが全部凡打になる」と伝えている。この記事は貴重な証言で、満州リーグではホームランこそ井野川利春の1本だけであるが、内地の試合よりも長打の数が多くなっていることにお気付きの方も多いことでしょう。当ブログでは満州リーグに備えて7月の内地の試合ではニューボールは降ろさず、使い古しを使っていたため極端にシングルヒットが多かったが、満州リーグではニューボールを使って長打数が増えていると読んでいます。但しホームランが1本だけなのは、ニューボールですら反発係数が落ちているからであると考えています。ニューボールの数には限界があるので、奉天では内地と同様使い古しを使っているようです。










                 *森弘太郎は5安打完投で21勝目をあげる。










 

2 件のコメント:

  1. 満州リーグ戦開始当初の悪天候によって、連盟が持参したボールの大半が使用不可能になったそうです。
    使い古しのボールは未曽有の打撃貧困を招き、後半になって大連、新京での試合から、南海軍がフリー打撃に使用していた飛ぶボールを使用してから、ようやく内地での試合と同じような当たりが戻ったとの事です。

    まぁ、三等列車に揺られての長距離移動などで選手のコンディションがボロボロだった影響も少なからずあったと思いますが。

    http://eiji1917.blog62.fc2.com/

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    1. 満州リーグに入って7月31日~8月11日に行われた37試合で合計471安打、長打は96本で安打に占める長打の比率は20.4%。直前の内地で7月5日~7月22日に行われた37試合では合計432安打、長打は64本で安打に占める長打の比率は14.8%となっています。

      7月の内地の試合では極端にシングルヒットの比率が増えていました。まあ、ピッチャーの状態、長距離輸送や体調の影響もありますのでこの数字だけでは判断できませんが満州リーグではニューボールを使っていたのではないかと推測した次第です。

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