8月15日は公式戦はお休みでしたが吉林で金鯱vsジャイアンツの帯同試合(オープン戦)が行われました。両軍とも13日に大連で試合があり、昨日はお休みでしたので恐らく昨日大連から約800キロを旅して吉林入りしたものと推測されます。1月2日付けブログ「満州リーグ エトセトラ ①」に掲載させていただいた地図をご覧ください。吉林は新京(現・長春)から京図線で東に100キロ程の所にあります。大連から新京は約700キロとなりますので吉林までは約800キロの旅程となります。
8月15日付け満州日日新聞はこの試合が行われるのは「吉林球場」と伝えていますが、16日付け満州日日新聞では「吉鉄球場」となってます。恐らく「吉林・満鉄球場」の事ではないかと考えられます。
金鯱は明日16日に新京でセネタース戦が組まれていますので100キロ程戻ればよいのですが、ジャイアンツは17日に大連で名古屋戦が組まれていますので明日再び800キロかけて大連に戻ることとなります。すなわち、ジャイアンツはオープン戦だけのために3日間で1600キロの移動をすることとなります。当初は8月5日に吉林でジャイアンツvsライオン戦の帯同試合が予定されていましたが、満州シリーズの序盤戦は連日の雨のためスケジュールが滅茶苦茶となり、休養日であったはずの15日に無理やり組み込まれたのでしょう。とは言え、吉林のファンとしては待望の帯同試合となりますので両軍とも手を抜く訳にはいきません。現代のひ弱な選手会であれば「疲れるからいやだ~」、「ストライキだ~」と駄々をこねることとなるのでしょう。
翌日の満州日日新聞は「水都ファン・妙味満喫」の大見出しでこの試合を伝えています。Wikipediaによると、「吉林市は、松花江(スンガリ川)の岸辺にあり、松花江は北流してアムール川と合流し、日本海に繋がる水路であるため、古くから造船業も盛んである。」とのことで、これが“水都”と呼ばれる所以でしょう。
金鯱は内藤幸三が先発、ジャイアンツは泉田喜義が先発。内藤は完投し、泉田は5回で降板して6回から中尾輝三が登板する。金鯱のキャッチャーは福永一馬が先発マスクを被る。奇しくも福永は神戸港から大連港に向かう“吉林丸”の船上で開催された聯盟理事会で登録が承認されて満州シリーズからプロ野球選手となったものである。
試合は金鯱が5回、佐々木常助が押出し四球を選んで1点を先制、ジャイアンツが6回に中島治康の右犠飛で追い付く。金鯱は8回、森田実が右中間に二塁打して三盗に成功、ここで中尾がボークを犯して森田が還り2対1で金鯱が勝利した。金鯱はオープン戦でもジャイアンツに強い。満州シリーズ好調の漆原進が4打数3安打を記録しています。
この試合は帯同試合なのでスコアカードは残されていません。本日の記述は8月16日付け満州日日新聞に依拠しています。
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