2013年2月3日日曜日

15年 セネタースvs金鯱 8回戦 満州リーグ


8月13日 (火) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 セネタース 37勝19敗8分 0.661 浅岡三郎 三富恒雄
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 金鯱          16勝43敗7分 0.271 中山正嘉

勝利投手 三富恒雄 3勝3敗
敗戦投手 中山正嘉 9勝21敗

二塁打 (セ)小林 (金)濃人2

勝利打点 小林茂太 5


小林茂太、先制タイムリー

 セネタースは初回、先頭の苅田久徳が四球で出塁、横沢七郎も四球を選んで無死一二塁、山崎文一が右前打を放って無死満塁、ここで小林茂太が右前に先制の2点タイムリーを放って2-0とする。

 金鯱は初回、二死後濃人渉が左翼線に二塁打を放つが黒澤俊夫は左飛に倒れる。2回、先頭の室脇正信が三失に生き、佐々木常助が送って一死二塁、しかし松元三彦は捕邪飛、中山正嘉は四球を選ぶが漆原進は三ゴロに倒れて無得点。3回は三者凡退に終わるが4回、先頭の黒澤が一塁に内野安打、二死後松元が四球を選んで一二塁とするが中山は中飛に倒れる。金鯱は4回まで3度スコアリングポジションに走者を進めながら無得点が続く。

 金鯱は5回、一死後五味芳夫が四球を選んで出塁、森田実は二邪飛(記録は「FF・4」。一塁後方へのファウルフライをセカンド苅田久徳が回り込んで捕球したものです。)に倒れるが濃人がこの日2本目の二塁打を左中間に放ち五味を迎え入れて1-2と追い上げる。

 金鯱は7回、先頭の中山が左翼線にヒット、漆原が投前に送りバントを決めて一死二塁、トップに返り五味は中飛に倒れるが森田は四球、濃人も四球を選んで二死満塁、セネタース苅田監督はここで先発の浅岡三郎から三富恒雄にスイッチ、三富は黒澤を遊ゴロに打ち取りピンチを切り抜ける。

 8回は三者凡退に終わった金鯱は9回、先頭の中山が中前打で出塁、漆原が捕前に送りバントを決めて一死二塁と7回と同じ展開、トップに返り五味の遊ゴロをショート柳鶴震がエラーして一死一三塁、しかしここで五味の二盗をキャッチャー佐藤武夫が刺して二死三塁、森田が四球を選び今度は二盗を決めて二死二三塁、濃人も四球を選んで7回に続いて二死満塁で黒澤俊夫に打順が回る。しかし金鯱ベンチは左の三富に対して左の黒澤に代えて代打古谷倉之助を起用、三富が踏ん張り古谷を三振に打ち取ってゲームセットを告げるサイレンが大連の空に高々と鳴り響く。


 金鯱打線は5安打7四球で毎回のように塁上を走者で賑わしたが12残塁を喫して惜敗する。

 セネタース先発の浅岡三郎は6回3分の2を4安打5四球2三振1失点、リリーフの三富恒雄は2回3分の1を1安打2四球2三振無失点。現行ルールであれば浅岡に勝利投手が記録されて三富にはセーブが記録されるが公式記録では三富恒雄に勝利投手が記録されている。翌日の満州日日新聞に掲載されている「戦評」は公式記録員広瀬謙三によるものであるが、「三富は救援の役目を果たして勝利投手となった。」と書いている。昭和15年の時点では硬式記録員広瀬謙三は「先発投手が5回以上を投げてリードを保ったま降板してその後同点に追い付かれることなく逃げ切った場合は先発投手に勝利投手が記録される」とは認識していなかった。なお、スコアカードには三富に「1失点、自責点1」と書かれているがこれは誤記載である。「日本プロ野球記録大全集」のこの試合の三富恒雄の自責点も「1」と書かれていますがこちらも間違いなのでご注意ください。


 本日の殊勲者は先制にして決勝の2点タイムリーを放った「戦前随一のクラッチヒッター」小林茂太であるが、9回に五味芳夫の二盗を刺した佐藤武夫が隠れた殊勲者であった。

 セネタースは前日の名古屋戦で2回を投げて3失点で降板した野口二郎が本日はファーストでも出場していない。野口の肩痛は深刻のようで、二位セネタースには暗雲が漂ってきた。









*公式記録では三富恒雄に勝利投手が記録されているが現行ルールでは浅岡三郎が勝利投手、三富にはセーブが記録される。スコアカードには三富恒雄の失点と自責点が1と書かれているがこれは誤記載である。これでは引分けになってしまします。















     *小林茂太の決勝打で快勝したセネタース打線。本日のスコアカードには野口二郎の名前は見られない。














 

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