2012年4月14日土曜日

内からグリーングラス ②


 杉本アナの本馬場入場は「九州のみなさん、ミヤジマレンゴです。蝉時雨が降り、赤蜻蛉が舞う小倉競馬場で、菊での健闘を約束した、あの馬です。」夏の小倉で北九州記念と小倉記念を連勝し、京都新聞杯3着のミヤジマレンゴは菊花賞では16着と惨敗しました。「菊での健闘を約束した」の部分はネットで調べると「菊花賞での健闘を約束した」のようですが記憶のままとしておきます。

 我々が恐れていたのはミヤジマレンゴよりもムーンライトハンデで阪神競馬場史上初めて2000mで2分を切る1分59秒9のレコード勝ちしたホクトボーイでした。ホクトボーイも菊花賞では17着と惨敗しましたが翌年の秋の天皇賞でトウショウボーイとグリーングラスを破って勝利を収めることとなります。

 クライムカイザーは5着に敗れました。トウショウボーイが抜け出せず、テンポイントが先頭に立って「それ行けテンポイント、ムチなどいらぬ、押せ~~!」と杉本アナが興奮気味に伝えていたところ「内からグリーングラス、内からグリーングラス」と内ラチ沿いをグリーングラスがするすると伸びてきて勝っちゃいました。単勝52.5倍は現在でも菊花賞レコードです。いよいよ時代は「TTG」に突入することとなりました。

 グリーングラスとクライムカイザーは有馬記念を回避し、トウショウボーイとテンポイントが有馬記念で古馬と激突することとなりました。トウショウボーイにはデビュー以来札幌記念まで同馬を管理する保田隆芳厩舎に所属する池上昌弘騎手が騎乗してきましたが、ダービーの敗戦に怒ったオーナーが天才・福永洋一騎手に交代させました。菊花賞の本馬場入場では杉本アナが「天才に天才が乗り、速さを感じさせない速さで菊に向かってひた走ります。」と伝えていました。

 ところが菊花賞に敗れて再び騎手交代論が台頭し、福永のライバルである名人・武邦彦が騎乗することとなりました。ネットで調べると「福永はエリモジョージに先約があった」となっていますが、当時の現場感覚ではオーナーが交代させたと思います。オーナーが政治家でわがままな奴であることを知っていたからです。

 いずれにしろ、当りの柔らかい武邦彦への乗り代わりはトウショウボーイにとってプラスであったと思います。この日は12月後半とは思えないほどのポカポカ陽気で馬場はパンパンの良馬場でした。錦糸町場外馬券売り場は開闢以来の大混雑でした。「後楽園がパンクした」との噂が飛び交い、みんな錦糸町に流れて来たからです。もちろん高校生ですから様子を見に行っただけで馬券は買っていません(笑)。レースはトウショウボーイが勝ってテンポイントが2着。突っ込んできたアイフルが3着でヤマブキオーが4着。「TT」が古馬を蹴散らして、新時代の到来を予感させました。・・・続く

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