2012年4月3日火曜日

中河美芳、謎の休場



 昭和14年の開幕から8月27日まで全試合に一塁手或は投手としてスタメンで登場してきた中河美芳が9月に入って突如として姿を消しました。10月1日に代打で約1カ月ぶりに登場しました。この間、読売新聞には中河に関する報道は一切ありません。

 当ブログではこの間中河が憲兵隊に尋問を受けていたのではないかと推測しています。

 当時の職業野球選手の多くが兵役を免除されるため夜間の大学に籍を置いていました。当然憲兵隊から目を付けられる訳で、そのターゲットとなったのが当代随一の人気選手であった中河美芳です。中河が憲兵隊の影に怯えていたことは各種資料からも確認できます。

 これまでも何人かのプロ野球選手が応召していますが、昭和14年を最後に兵役に就く選手が激増します。一般人の兵役逃れを牽制するには有名人を徴兵するのが手っ取り早いと判断したのであろうことは容易に想像できます。体力にも優るプロ野球選手がターゲットとなるのも当然だったのでしょう。

 読売新聞の記事も徐々に軍国調になっています。プロパガンダにマスコミを利用するのは当然のことでしょうが。ドイツの「プロパガンダの天才」ゲッペルスの手法を日本でも導入していたようです。今では信じられないことですが、当時の日本人はナチスドイツに傾注していった訳で、約1年後に日独伊三国同盟が締結されることとなります。

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