2012年4月18日水曜日

ミケンズルール


 グレン・ミケンズは防御率と連動する給与体系であった。公式記録で自らに記録された自責点に疑問を持ったミケンズは公式記録員に抗議するが却下された。しかし山内以九士公式記録員は独自に大リーグの記録等を調べた結果、ミケンズの主張が正しく自分たちの解釈が間違っていることに気が付き、昭和36年から日本でも正しい自責点が記録されることとなった。

 旧来、日本の公式記録では二死後失策があった場合にそれ以降の得点には自責点は記録されないと解釈されたいた。しかし実際はアウトカウントに関係なくその失策が無かった場合にチェンジになったと判断された場合、それ以降の得点には自責点は記録されない。昭和35年の段階でグレン・ミケンズはこのルールを正く認識していたが、日本の野球界は間違った解釈をしていたのである。

 10月11日のイーグルスvsジャイアンツ戦で望月潤一は8回を完投して15失点を記録したが、スコアカードの望月の自責点の欄は空欄になっており、後から「11(6)」と書き足されている。

 旧来の日本野球界が認識していたルールでは望月の自責点は11になる。ところがミケンズルールに照らすと自責点は6となる。1回の1失点と2回の1失点は失策が絡んでいるので自責点にはならない。3回の5失点のうち1点は失策が絡んでおり自責点は4となる。5回の2失点のうち1点は失策が絡んでいるので自責点は1、8回の1失点は失策は絡んでいないので自責点1となる。

 問題は4回の5失点である。得点経過は、水原四球、千葉二失、中島の遊ゴロでランナーが入れ替わり一死、川上左飛で二死、リベラ2点タイムリー三塁打、平山中前タイムリー、吉原左越えツーランホームラン、中尾中飛でスリーアウトチェンジ。この場合、千葉の二失をイーグルスのセカンド古川正男がエラーしていなければ川上の左飛でスリーアウトチェンジになっていたはずであることから、この回の5失点は自責点ゼロとなる。したがって、3回の4自責点、5回の1自責点、8回の1自責点の合計6自責点となる。


*望月の自責点は後から「11(6)」と書かれているようだ。旧解釈では11点、昭和36年以降に導入されたミケンズルールでは6点となるので、当然昭和36年以降に書かれたものでしょう。


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