AJC杯を三角まくりで圧勝したグリーングラスは「史上最強馬」とまで呼ばれましたが、続く目黒記念を60キロのハンデで2着に敗れてバブルは崩壊しました。テンポイントは京都記念でホシバージにクビ差で競り勝ち、鳴尾記念もケイシュウフォードをクビ差で退け天皇賞に向かいます。鳴尾記念の日は偶然法事で大阪に行っていましたので大阪球場の馬券売り場に様子を窺いに行きました。ケイシュウフォードを対抗に押していましたので60倍の予想を的中させました。もちろん大学入学直前ですから馬券は買っていません(笑)。春の天皇賞はグリーングラスは4着、歯代わりで本調子を欠いて引っ掛かっていました。テンポイントはクラウンピラードの急襲をしのいで初戴冠となりました。トウショウボーイは深管骨瘤のため休養を続けています。
宝塚記念は当然テンポイントが一番人気でしたが有馬記念以来半年ぶりのレースとなるトウショウボーイが逃げ切りテンポイントは2着。スピードではトウショウボーイにかなう馬はこの世に存在しないことを見せつけました。トウショウボーイは続く高松宮記念を圧勝して単勝100円の元返しでした。同日中山競馬場で行われた日本短波賞でもマルゼンスキーが単勝100円で圧勝しています。マルゼンスキーは続く札幌の短距離ステークスを10馬身差で圧勝します。このレースでトウショウボーイとの激突が見られる予定でしたが結局回避しました。
秋の天皇賞はトウショウボーイとグリーングラスが競り合って共倒れとなりホクトボーイが漁夫の利を得ました。秋のリーグ戦も終了していましたので東京競馬場で観戦していました。まだジャパンカップはありませんので天皇賞が東京最終週でした。もちろん馬券は買っていません(笑)。
いよいよ「史上最高の名勝負」として名高い昭和52年有馬記念です。マルゼンスキーの回避は残念でしたが、レース前から「史上最高の名勝負」となる雰囲気がぷんぷんしていました。これは決して後付けではなく当時の現場感覚です。今度はテンポイントだろうというのが正直なところでした。②でお伝えしたとおり前年は12月とは思えない陽気でパンパンの良馬場でしたが、この年は例年通りの天気で暮れの中山らしく馬場は荒れていました。この馬場では深管骨瘤を抱えるトウショウボーイには苦しいだろうと思いました。秋の天皇賞のステップレースとして使った1600mのオープンでは減量騎手の黛幸弘が騎乗しましたが、黛騎手がトウショウボーイを抑え切れずレコード勝ちしてしまいました。天皇賞の7着は展開と距離と敗因がはっきりしていましたのであまり気にならなかったのですが、あのレコード勝ちの反動は心配でした。
この年の中山開催は例年以上に芝のレースが多く、馬場は荒れ気味でした。この馬場ではテンポイント有利は動かせません。中央競馬会としても人気馬のテンポイントに勝たせたかったのでしょう。スピードの絶対値ではトウショウボーイにかなうはずはないのです。同じ良馬場発表ではありましたが、前年の勝ちタイム2分34秒0に対してこの年は2分35秒4です。
2着に敗れたトウショウボーイは引退して予想通り種牡馬としても大成功を収めました。勝ったテンポイントは海外遠征の壮行会として出走した日経新春杯で66.5キロを背負い、レース中に骨折しました。闘病の様子は一般ニュースや一般紙の社会面でも大きく報道され、届いた千羽鶴は五万羽に及んだと伝えられています。・・・終り
*昭和52年有馬記念(史上最高の名勝負)のパドックで撮影したテンポイント。撮影者は友人です。以下同様。
*天馬トウショウボーイ。
*緑のマスクがトレードマークだったグリーングラス。
*テンポイントと鹿戸明騎手。
*トウショウボーイと武邦彦騎手。
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