2011年2月19日土曜日

13年春 阪急vsイーグルス 4回戦

7月14日 (木) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 0 2 0 0 1 5 阪急     20勝12敗    0.625 宮武三郎 森弘太郎
0 0 0 0 0 3 0 0 0 3 イーグルス 18勝14敗1分 0.563 亀田忠




勝利投手 森弘太郎 5勝2敗
敗戦投手 亀田忠   12勝8敗


二塁打 (阪)野上
本塁打 (阪)堀尾 1号


山田伝、ハリスから3盗塁


 阪急と阪急を1ゲーム差で追うイーグルスの直接対決となった三位攻防戦。

 阪急は初回、一死後フランク山田伝が左前打で出塁して果敢に二盗に成功、バッキー・ハリスのパスボールで山田は三塁に進む。黒田健吾四球で一死一三塁、ジミー堀尾文人が左犠飛を打ち上げて1点を先制する。

 阪急は3回、一死後西村正夫が四球で出塁、山田の右前打で西村は三塁に進み一死一三塁、山田が二個目の盗塁を決めて一死二三塁、黒田の三ゴロで西村がホームに突っ込むがサード漆原進からのバックホームにタッチアウト、堀尾が中前にタイムリーを放って2-0とする。5回には山田がこの日三個目の盗塁を決めるが得点無し。

 イーグルスは3回、無死から太田健一、辻信夫、山田潔が三連続四球を選んで無死満塁のチャンスを掴んだが中根之は一邪飛、漆原進の右飛に三走太田がホームを突くがライト西村正夫からの返球にタッチアウトとなった。

 阪急は6回、一死後上田藤夫が三塁に内野安打、七番ファーストに起用された浅野勝三郎に代わる代打林信一郎が左前打を放って一死一二塁、二死後宮武三郎の一ゴロはファースト中河美芳から一塁ベースカバーに入った亀田忠に渡るかと思われたがこれが悪送球となり二走上田に続いて一走林もホームに還り4-0とする。普通に考えれば中河の悪送球をキャッチャーハリスがカバーして一塁ランナーまでホームに還るとは考えにくいが、本日のハリスは山田に走りまくられたりとどうもおかしい。

 5回まで宮武に無安打に抑えられていたイーグルスは6回裏、先頭の中根之が右前に初安打を放って出塁、二番漆原進の遊ゴロをショート上田がエラーして無死一二塁、ハリスが汚名挽回の左前タイムリーを放って1-4、阪急ベンチはここで先発宮武をあきらめ森弘太郎をリリーフに送る。亀田は中飛に倒れて一死一二塁、中河の投ゴロを森は三塁に投げるがこれが野選となって一死満塁、杉田屋守が右前にタイムリーを放って2-4、太田健一の二ゴロの間にハリスが還って3-4として二死二三塁、辻信夫に代わる大貫賢は三ゴロに倒れてチェンジ。

 阪急は9回、堀尾がレフトスタンドにホームランを放って5-3とする。

 イーグルスは最終回も森弘太郎に簡単に二死を取られ、山田に代えて望月潤一を代打に送るが三振に打ち取られてゲームセットを告げるサイレンが鳴り響いた。森がイーグルス打線を抑えて阪急は三位の座を守る。

 森弘太郎は4イニングを1安打2四球2三振無失点と見事なリリーフ、後の大投手の片鱗を見せる。阪急はフランク山田伝の3盗塁の他にも黒田健吾、キヨ野上清光、大原敏夫が1個ずつ盗塁を決めて合計6盗塁、バッキー・ハリスの動きはどうもおかしかった。亀田忠も疲労の蓄積からか一頃の元気は無く、中河美芳も手痛いエラーがありイーグルスは三位に並ぶチャンスを自ら潰してしまった。翌日の読売新聞は「イ軍の亀田は恐らく連投のためであろう、この日スピードなく・・・著しく不調を示し、また女房役のハリスも亦尋常ならず彼として珍しい六盗塁を許すという不元気であった。さらに守備の中心中河が・・・高価な失策を演じた如くイ軍は攻守に亙って平素の堅実さを失っていた。」と伝えている。

 この読売の記述は興味深い。昭和13年7月15日の段階でバッキー・ハリスの強肩が知れ渡っていたこと、タコ足中河美芳の名手ぶりが伝わっていたことがうかがえる。更に当時としても亀田の連日の登板が懸念されていることが分かる。

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