2011年2月27日日曜日

13年春 タイガースvsジャイアンツ 5回戦

7月17日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
3 1 0 1 0 1 0 2 6 14 タイガース    29勝6敗   0.829 御園生崇男 西村幸生 景浦将
3 1 1 0 0 0 0 1 0  6  ジャイアンツ 24勝11敗 0.686 前川八郎 川上哲治 スタルヒン 水原茂 成田友三郎


勝利投手 景浦将        2勝0敗
敗戦投手 スタルヒン 14勝3敗


二塁打 (タ)西村、藤村2、田中 (ジ)千葉、平山
三塁打 (ジ)三原、白石
本塁打 (タ)景浦 5号 


景浦将、投打に圧倒


 いよいよ昭和13年春季リーグ戦最後の試合、四万観衆が見守る中、16時25分、二出川延明主審の右手が上がりプレイボール。

 タイガースは初回、先頭の本堂保次四球、藤村富美男左前打、山口政信四球で無死満塁、景浦将は遊飛に倒れて一死満塁、左の松木謙治郎を迎えたところでジャイアンツベンチは早くも先発前川八郎を退けて二番手に川上哲治を起用、松木は投ゴロに倒れるががこれを川上がエラーする間に本堂が生還して1点を先制、カイザー田中義雄が左前にタイムリー、伊賀上良平の一ゴロの間に山口が還って3-0とする。

 ジャイアンツは1回裏、先頭の三原脩が中越えに三塁打、呉波の左翼線タイムリーで1-3、千葉茂が右中間に二塁打を放って無死二三塁、中島治康左前タイムリーで2-3としてなお無死一三塁となり先発御園生崇男をKO、二番手に西村幸生が登場、白石敏男の遊ゴロは6-4-3と渡るゲッツー、しかし中島は動かず二死三塁、水原茂が四球から盗塁、ここでキャッチャー田中が三塁に悪送球して中島が還り3-3の同点として二死三塁、永澤富士雄四球から盗塁、吉原正喜四球で二死満塁、しかし川上は二ゴロに倒れて同点止まり。ここは一気に突き放しておかなくてはならないところ、中島のボーンヘッドもいただけない。

 タイガースは2回、岡田宗芳四球、西村が左中間に二塁打を放ちその際レフト千葉が悪送球して岡田が還り4-3。藤村右飛、山口四球で一死一塁、ここで川上が退き三番手にスタルヒンが登場、景浦は三ゴロ併殺に倒れる。ジャイアンツはその裏、三原が右翼線にヒット、呉が送って西村のボークで一死三塁、千葉の右犠飛で4-4の同点とする。

 タイガースは3回から西村に代えて景浦をマウンドに送る。ジャイアンツは3回、白石の右中間三塁打と永澤の右犠飛で5-4と勝ち越す。タイガースは4回、二死後藤井勇が中前打で出塁、藤村が右中間にタイムリー二塁打を放って5-5の同点に追い付く。

 タイガースは6回、藤村右前打、山口左翼線打、景浦中前タイムリーの三連打で6-5と勝ち越す。今季最終戦は死闘となってきた。

 ジャイアンツは7回からスタルヒンを下げて水原が今季初登板、タイガースは8回、一死後本堂四球、藤村左前打、山口四球で満塁、景浦が押出し四球を選んで7-5、松木の一ゴロの間に藤村が還って8-5と突き放す。ジャイアンツはその裏、先頭の水原死球、二死後平山菊二の左中間二塁打で6-8と追いすがる。

 タイガースは9回、田中、伊賀上が連続左前打、ジャイアンツは五番手に成田友三郎を投入、御園生の投前送りバントが野選を誘い無死満塁、岡田が左前に2点タイムリーを放ち10-6、御園生はキャッチャー吉原からの二塁牽制に刺されるが二死後藤村がこの日5安打目となるタイムリー左中間二塁打を放って11-6、山口の中前タイムリーで12-6、更に景浦がレフトスタンドにツーランホームランを叩き込んで止めを刺して14-6とする。ジャイアンツも最終回、二死から白石左前打、水原中前打と粘りを見せるが最後は景浦が永澤を三振に打ち取り、18時17分、ゲームセットを告げるサイレンが高々と鳴り響く。

 藤村富美男が6打数5安打4得点2打点、景浦将が5打数2安打4打点であった。中島治康は5打数2安打で今季通算145打数50安打打率3割4分5厘で首位打者を確定した。

 翌日の読売新聞は「痛打あり、美技あり、名誉をかけて血みどろの一戦を争ったこの試合の如きは恐らく多戦の職業野球の中にあっても特に珍重すべき興味満点のものと断じてよく・・・」と伝えている。

 景浦将が決勝打にダメ押し本塁打、投げては7回を7安打2四球1死球6三振2失点と投打にその底力を見せつけた試合であった。




     *激戦を伝えるスコアブック




0 件のコメント:

コメントを投稿