10月4日 (土) 中百舌鳥
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 2 0 1 0 4 朝日 22勝43敗 0.338 野村高義 福士勇
1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 巨人 48勝17敗2分 0.738 広瀬習一
勝利投手 福士勇 17勝20敗
敗戦投手 広瀬習一 3勝1敗
二塁打 (朝)伊勢川、戸川 (巨)川上
勝利打点 戸川信夫 1
伊勢川真澄、戸川信夫連続適時二塁打
巨人は初回、一死後水原茂が四球を選んで出塁、千葉茂の投ゴロをピッチャー野村高義が二塁に送球するが併殺を焦ったショート五味芳夫が落球、川上哲治は左飛に倒れて二死一二塁、中島治康がレフト線にタイムリーを放って1点を先制する。
朝日は3回、先頭の野村が右前打で出塁、室脇正信が送って一死二塁、トップに返り坪内道則の左前打で一死一三塁、五味が汚名挽回の中犠飛を打ち上げて1-1の同点に追い付く。
巨人は4回、一死後楠安夫、平山菊二が連続四球、呉波の右前打で一死満塁、朝日ベンチはここで先発の野村から福士勇にスイッチ、広瀬習一がセンター右にタイムリーを放って2-1と勝ち越す。しかしこの一打で打者走者の広瀬は前のランナーが進んでいないにもかかわらず一塁をオーバーランして「8-1-3」と送球されて憤死、続く白石敏男は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。
朝日は6回、二死後岩田次男が四球を選んで出塁、伊勢川真澄が左中間に同点二塁打を放って2-2、戸川信夫が右翼線に逆転二塁打を放って3-2とリードする。
朝日は8回、一死後五味が四球を選んで出塁、岩田の左前打で一死一二塁、伊勢川は中飛に倒れるが、戸川信夫が右前にタイムリーを放って4-2と突き放す。
朝日二番手の福士勇は8回、一死後川上に左翼線二塁打を許し、中島を歩かせて一死一二塁、楠を一邪飛に打ち取り二死一二塁、平山の一打はスコアカードには「1.4-6B」と記録されているので、ピッチャー福士を襲った痛烈な当たりを福士がグラブに当て、バックアップしたセカンド戸川信夫が二塁ベースカバーのショート五味に送球して一走中島を封殺したようだ。9回も先頭の呉に四球を与え、広瀬の遊ゴロでランナーが入れ替わりトップに返って白石に左前打を浴び一死一二塁、しかし水原の遊ゴロで一走白石を二封、最後は千葉をセカンドフライに打ち取り17勝目をあげる。
この日の4試合は後楽園では黒鷲が大洋を、名古屋が阪急を破り、中百舌では南海が阪神を、朝日が巨人を破り、全試合で下位チームが上位チームを破ったのである。翌日の読売新聞の見出しは「東西で番狂わせ」。
広瀬習一はプロ入り初の敗戦投手となった。直節的原因は伊勢川真澄、戸川信夫に連続二塁打を浴びて逆転され、戸川には追撃のタイムリーも許したことにあるが、6回と8回の失点は共に得点を許した走者を四球で歩かせているのである。当ブログは、ここに広瀬の敗因を求める。また、上田龍著「戦火に消えた幻のエース 巨人軍・広瀬習一の生涯」によると、広瀬のボールは「小さな腕の振りから、リストの強さを生かしたスナップスローで、スライダーやシュート、シンカーを投げ分けていた」、「投げる球はほとんど変化する」ということであるが、翌日の読売新聞によると「伊勢川、戸川(信)が何れも広瀬の直球を狙って長打を連らね」、「直球を狙われた巨人バッテリーの若さ・・・」とのことで、この日の広瀬のボールは変化していなかったようだ。
更に、4回に一時はリードを奪うタイムリーをセンター右に放った広瀬は一塁をオーバランしてアウトとなり、追撃のチャンスを自ら潰している。「戦火に消えた幻のエース」によると広瀬は陸上短距離走でも名を成した可能性がある程の健脚を誇り、一説によると「暁の超特急」と云われた吉岡隆徳に指導を受けたそうである。このオーバーランは自らの脚を過信したのであろうか。矢張りこの試合は広瀬の若さが露呈されたと評価するべきでしょう。
なお、読売新聞に「戸川(信)」と表記されているのは、この時点では朝日に戸川信夫と戸川須賀男が在籍しているためです。
*4回、センター右にタイムリーを放った広瀬習一は前にランナーが詰まっているにもかかわらずオーバーランして「8-1-3」で刺された。
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