１５年 イーグルスvs金鯱 ６回戦

6月16日 （日） 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 0 0 2 5 イーグルス ２３勝１６敗１分 0.590 亀田忠 中河美芳
1 0 1 0 1 0 1 0 0 4 金鯱           １２勝２６敗２分 0.316 古谷倉之助 中山正嘉

勝利投手 中河美芳 ４勝６敗
敗戦投手 中山正嘉 ５勝１３敗

二塁打　（イ）亀田
三塁打　（イ）木下

勝利打点　岩垣二郎　３


岩垣二郎、決勝逆転打

　4連勝と波に乗るイーグルスは亀田忠が先発、一方金鯱は古谷倉之助で応戦する。

　金鯱は初回、先頭の五味芳夫が左前打で出塁、佐々木常助がストレートの四球を選んで無死一二塁、濃人渉が三前に送りバントを決めて一死一二塁、長島進の右犠飛で1点を先制する。

　金鯱は3回、先頭の五味がストレートの四球で出塁、佐々木の遊ゴロをショート山田潔がエラー、濃人が二打席連続で送りバントを決めて一死二三塁、長島の遊ゴロで三走五味がホームに突っ込みショート山田のバックホームは間に合わず2-0、野選がとなって長島には二打席連続で打点が記録される。なお一死三塁で古谷が右飛を打ち上げ三走佐々木はタッチアップからホームを突くがライト谷義夫からのバックホームにタッチアウト。

　金鯱は5回、先頭の五味がツースリーから四球を選んで三打席連続で出塁、佐々木の三ゴロでランナーが入れ替わり、濃人の三塁内野安打で一死一二塁、長島が左前にタイムリーを放って3-0とする。長島は三打席連続で打点を記録する。続く古谷の一直に一走長島が飛び出してダブルプレー。

　金鯱先発の古谷の前に5回まで3安打無得点に抑えられてきたイーグルスは6回、先頭の岩垣二郎が右前打で出塁、岩垣が二盗を決めて無死二塁、中河美芳の一塁内野安打で無死一三塁、ここで岩垣がホームスチールを決めて1-3とする。打者の亀田忠にはカウントは記録されておらず一走中河はそのままなので、ここは投球の際に岩垣が本盗を決めたのではなく、中河がディレード気味に飛び出し一二塁間に挟まれる隙に岩垣がホームスチールを決めたものであろう。中河のトリックプレーが光る。亀田の三ゴロをサード漆原進が一塁に悪送球する間に一走中河は三塁に走り打者走者の亀田も二塁に進んで無死二三塁、イーグルスはここで古谷をファーストに回して中山正嘉をマウンドに送る。谷、寺内一隆は連続三振に倒れて二死二三塁、しかし木下政文が右前に殊勲の2点タイムリーを放って3-3の同点に追い付く。

　金鯱は7回、二死後佐々木が左前打で出塁、佐々木が二盗を決めて二死二塁、濃人が左翼線にタイムリーを放って4-3と勝ち越す。

　イーグルスは8回、先頭の亀田が左中間に二塁打、代走に玉腰忠義を起用、谷に代わる代打菅利雄は三振、寺内が四球を選んで一死一二塁、しかし中山からの牽制球に玉腰が刺され、木下は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。イーグルスは8回裏からファーストの中河がマウンドに上がり菅がファースト、太田健一がライトに入る。

　1点を追うイーグルスは9回、先頭の清家忠太郎に代わる代打長谷川重一が右前打を放って出塁、山田が投前に送りバントを決めて一死二塁、岡田福吉が右前打を放って一死一三塁、岡田が二盗を決めて一死二三塁、このチャンスに岩垣が右翼線に逆転の決勝2点タイムリーを放って5-4とする。

　中河美芳は8回に続いて9回裏の金鯱打線の反撃を三者凡退に抑えて2イニングをパーフェクトリリーフで4勝目をあげる。


　岩垣二郎が二試合連続で勝利打点を記録した。何れも1点差試合で終盤に決勝タイムリーを放ったものであり真の殊勲打であった。


　イーグルス9回の攻撃で打順間違いがあった。岩垣の決勝タイムリーで一死一塁、岩垣が二盗を決めて一死二塁、中河は一ゴロに倒れて二死二塁、ここで打順は太田健一であったが間違えて菅利雄が打席に入って三振、金鯱も気が付かなかったのかアピールせず、結局太田は打順が回ってきながら0打数0安打、菅には2打数無安打2三振が記録された。昭和15年4月21日の南海vsセネタース4回戦（2012年8月12日付け）以来、プロ野球史上二度目（多分）の打順間違いであった。











　　　　　＊岩垣二郎が2試合連続勝利打点を記録して5連勝のイーグルス打線。

＊「雑記」欄には「誤って打つ。（9回 菅、大田の打順・・）」と書かれているようです。翌日の読売新聞には「この試合にプロ野球では珍らしい打順の間違いがあった。それは9回二死後太田が打席に立つべきを菅が打ったが両軍とも気づかずに試合を終った事でそのため個人成績表に太田の打席がなくなってしまった。」と書かれています。