2010年9月23日木曜日

12年秋 阪急vsイーグルス 4回戦

10月4日 (月) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 3 0 0 1 0 0 0 0 4   阪急           8勝10敗2分  0.444  笠松実 中田武夫 重松通雄
1 0 0 1 0 1 2 0 X 5  イーグルス  9勝10敗1分  0.474  藤野文三郎


勝利投手 藤野文三郎 3勝1敗
敗戦投手 中田武夫   0勝2敗


三塁打 (イ)ハリス


イーグルス競り勝つ


 阪急は一番センタージミー堀尾文人、三番ファースト宮武三郎、四番レフト山下好一、五番ライト山下実と考えられうる範囲で最高の重量打線を組む。この結果三番を打っていたキヨ野上清光が六番、西村正夫、フランク山田伝は控えに回る。元来、三宅大輔元監督は山下実を外野に回して宮武と常時使う構想を持っていたが、球団首脳陣が山下実のコンバートに反対し、三宅元監督は阪急を去ることとなった。

 イーグルスは初回、先頭の寺内一隆が左前打で出塁、二番中河美芳三振後、バッキー・ハリスが右翼線に三塁打を放って1点を先制する。

 阪急は2回、山下好一右前打、山下実四球、野上が送って上田藤夫四球で一死満塁、大原敏夫、笠松実が連続押出し四球を選んで2-1と逆転、堀尾の浅井ライトフライに三走上田がタッチアップからスタート、タイミングはアウトであったがキャッチャーハリスが落球して3-1とする。

 イーグルスは4回、左前打で出塁した小島利男が二盗に成功、杉田屋守の二ゴロで三塁に進む。藤野文三郎四球で一死一三塁、バッターは八番辻信夫、ここは当然スクイズが予想される場面であるが、スクイズを警戒した笠松実のウエストボールが高く逸れて暴投となり小島が生還して2-3。

 阪急は5回、先頭の笠松が遊失に生き、堀尾が左前打で続く。黒田健吾が送って一死二三塁、宮武の左犠飛で4-2とする。

 イーグルスは6回、二死後藤野、辻が連続四球、阪急は笠松から中田武夫にスイッチ、しかし漆原進に代わる代打太田健一も四球、更に寺内が押出し四球を選んで3-4とする。更に7回、この回先頭のハリスが四球、サム高橋吉雄も四球で無死一二塁、阪急はストライクが入らない中田をあきらめ重松通雄を投入、小島の遊ゴロはお誂え向きのゲッツーコース、ところがショート上田が二塁に悪送球する間にハリスが還って4-4の同点となり高橋も三塁に進んでなお無死一三塁。更に杉田屋がスクイズを決めて高橋が決勝のホームを踏む(この場面を翌日の読売新聞は「小島・杉田屋の間に行われたスクイズが成功」と誤って伝えている。どうも読売の記事は、鈴木惣太郎、市岡忠男を除き、現場の記者が付けたスコアブックを基に現場を見ていないデスクが記事にしているとしか思えない誤記載が目に付く。この場面は公式スコアブックには「杉田屋の三前スクイズバントで高橋が生還」とはっきりと記載されており、スコアブックを見なくても打順から三塁ランナーが高橋であることは明らかである。新聞のスクラップブックは大変貴重な史料であることは認めますが、当時の情報伝達手段の未熟さを十分考慮に入れて盲信しすぎないことをお薦めいたします。)。

 藤野文三郎は6回以降阪急重量打線を1安打に抑え、結局3安打6四球3三振の完投で3勝目をあげる。イーグルスは一進一退の攻防に競り勝ち、阪急を抜いて四位に浮上、三位金鯱に半ゲーム差と迫る。

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