ロイ・ハラデーが2安打無四球の完封で21勝目、地上最強軍フィラデルフィア・フィリーズがナショナル・リーグ西地区の優勝を決めました。
ハラデーは今季9回目の完投、4度目の完封(完全試合1を含む)、サイ・ヤング賞はもちろんのこと、MVPの可能性も出てきたと思います。
今季のフィリーズはチェース・アトリーの長期離脱、後半に入ってのライアン・ハワードのDL入りと飛車角落ちの戦いが続き、決して強力打線の援護に助けられたものではありません。
今季のナショナル・リーグは投高打低の傾向が強く、打撃陣のMVP候補はジョーイ・ボット、カルロス・ゴンザレス、アルバート・プホルスに絞られていますが、ボット、ゴンザレスはこれまでの実績が無いに等しくいきなりのMVPまではどうでしょうか。
若く勢いのあるゴンザレスには票が集まる可能性はありますが、打者有利なクアーズ・フィールドを本拠地とするロッキーズの打者にはMVP投票で票が集まった例がありません。クアーズ・フィールドでは高地による飛び過ぎを制御するため使用球の湿度管理を行っていますが、先日のジャイアンツ戦でもリンスカムがクレームを付けていたように、コロラド有利の細工をしているのではないかとの疑念が付いて回ります。2007年打率、打点圧倒的二冠のマット・ホリデーですらMVPにはなれませんでした。
アルバート・プホルスは三冠は逃したものの本塁打はほぼ当確、打点との二冠の可能性も濃厚ですが、今年は「試合を制する一撃」が鳴りを潜めており、内容は昨年、一昨年を下回ります。三年連続となれば当然ハードルが高くなりますので、今年は厳しいのではないかと考えております。
ジョーイ・ボットは一時はMVP候補No1でしたが、終盤勢いが鈍ってきており、票の伸び悩みが予想されます。
ということで、ナショナル・リーグMVPは、ロイ・ハラデーのサイ・ヤング賞とのダブル受賞と予想させていただきます。ダブル受賞となれば1992年のデニス・エカーズリー以来18年ぶりとなります。近年はMVPは打者のものとなっていますが、86年ロジャー・クレメンス、84年ウィリー・ヘルナンデス、81年ロリー・フィンガース、そして私が大リーグに興味を持つきっかけとなった71年バイダ・ブルーと遡ることができます。ただし何故か全てアメリカン・リーグであり、ナショナル・リーグでは1968年のボブ・ギブソン以来となります。因みにこの年は投手の年と呼ばれており、アメリカン・リーグも現時点における最後の30勝投手であるデニー・マクレインがMVPに選出されております。
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