2011年11月20日日曜日

14年 金鯱vsライオン 5回戦


6月17日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 1 0 1 0 0 4 金鯱    13勝26敗      0.333 中山正嘉
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 ライオン 14勝19敗4分 0.424 菊矢吉男


勝利投手 中山正嘉 9勝10敗
敗戦投手 菊矢吉男 9勝8敗


二塁打 (ラ)山本尚敏
三塁打 (金)鬼頭


金鯱、破竹の5連勝

 
 ライオンは初回、一死後玉腰年男が右前打で出塁、水谷則一の一二塁間内野安打で一死一二塁、鬼頭数雄がライトオーバーの三塁打を放って二者還り2点を先制する。

 金鯱は2回、一死後小林利蔵が四球で出塁、中山正嘉の三ゴロでランナーが入れ替わり、瀬井清の右前打で中山が三塁に進んで二死一三塁、瀬井の二盗にキャッチャー室井豊の悪送球が重なり三走中山が還って1-2、長島進が中前に同点タイムリーを放って2-2とする。

 金鯱は5回、先頭の瀬井が三前にセーフティバントを決めて出塁、長島が一塁線に送りバントを決めて一死二塁、ライオンはここでショートを松岡甲二から山本尚敏に交代する。続く山本次郎が左前打、トップに返り五味芳夫が四球を選んで一死満塁、佐々木常助が右前にタイムリーを放って3-2と勝ち越しに成功する。二走山本も三塁ベースを蹴ってホームを突くがライト水谷からのバックホームにタッチアウト、三塁まで進んでいた一走五味もホームを狙うが「2-4-2」と挟まれてタッチアウト、変則ダブルプレーとなってスリーアウトチェンジ。

 金鯱は7回、一死後山本次郎が二ゴロエラーに生きると続く五味の打席で菊矢吉男が二度のワイルドピッチを犯して山本は二進、三進して一死三塁、五味の投ゴロに三走山本が飛び出して三本間に挟まれるがここから粘りに粘って打者走者五味が三塁に進む時間を稼いだ。山本はタッチアウトとなって二死三塁、五味は続く佐々木への第二球目にホームスチールを成功させて4-2とする。

 中山正嘉は6安打2四球3三振の激投、6回以降を無安打に抑え完投で9勝目をあげる。


 試合経過からも分かるように金鯱の積極的な走塁が目に付いた試合であった。金鯱は昭和12年秋季の島秀之助から13年春季・江口行男、13年秋季・佐々木常助、14年・五味芳夫と四期連続盗塁王を輩出する訳であるが、これは岡田源三郎監督の積極采配に拠るものである。本日は記録上は瀬井清と五味芳夫の1個ずつの2盗塁であったが、瀬井の二盗はキャッチャーの悪送球を誘って1点目に直結し、三本間に挟まれた山本次郎の時間稼ぎにより三塁に進んだ五味芳夫が本盗で締めた。金鯱はこれで破竹の5連勝を飾り、夏季シリーズの単独首位に躍り出た。

*昭和14年からは1シーズン制が採用されていますが、春季、夏季、秋季に分けてチーム優勝、首位打者等が表彰されることとなっています。春季シリーズの優勝は阪急、首位打者は川上哲治となっています。





*金鯱7回の攻撃で先頭の山本次郎は二失に生きて菊矢のワイルドピッチで二進、三進し、五味芳夫の投ゴロに飛び出して三本間に挟まれるがそこから時間を稼いで打者走者五味を三塁に進め、五味芳夫がホームスチールを決めた。

                              ・山本次郎の打席
 


          
                              ・五味芳夫の打席







            *中山正嘉は完投で9勝目をあげる。





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