2010年11月27日土曜日

12年秋 セネタースvs金鯱 6回戦

11月30日 (火) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 セネタース 20勝26敗1分 0.435 野口明 浅岡三郎
0 0 1 1 0 0 1 0 X 3 金鯱          22勝25敗1分 0.468 古谷倉之助


勝利投手 古谷倉之助 7勝4敗
敗戦投手 野口明      14勝15敗


二塁打 (セ)野口明
三塁打 (金)黒澤
本塁打 (金)平川 2号


野口明、最多勝はならず


 いよいよ昭和12年秋季リーグ戦最終日を迎えた。この時点では10月27日のセネタースvsジャイアンツ3回戦は提訴中であり、セネタースの勝利としてカウントされているため、両チーム21勝25敗1分の同率四位で迎える最終日のダブルヘッダーとなった。実際には上記10月27日の試合は無効試合となって取り消されましたのでセネタースの通算成績からは除いてお伝えしております。

 セネタースの先発はスタルヒン、西村幸生に並ぶ15勝目を狙う野口明、金鯱の先発は病気療養からようやく復調してきた古谷倉之助。タイガース、ジャイアンツ投手陣以外では職業野球黎明期を代表するエース同士の対決となった。

 セネタースは初回、先頭の苅田久徳が左前打、これをレフト黒澤俊夫がはじいて苅田は三塁に進み、横沢七郎の中犠飛で1点を先制する。

 金鯱は初回、先頭の島秀之助が四球で出塁するが江口行男の遊ゴロは6-4-3のセネタース併殺網にかかりゲッツー、2回は小林茂太が二失に生き、黒澤俊夫の投前バントが野選を誘い小林茂を三塁に進めるがスクイズ失敗、黒澤を二塁において古谷倉之助が中前打を放つが8-4-2の中継に黒澤が刺されて得点ならず。

 しかし金鯱は3回、スリム平川喜代美の第2号ホームランで1-1の同点とし、4回、黒澤が左中間に三塁打、相原の投直に黒澤が飛び出しかけるが野口明からの送球をサード横沢七がエラーして黒澤が還り2-1と逆転。野口明は4回で降板し、浅岡三郎がリリーフに登場する。金鯱は7回、先頭の黒澤が右前打で出塁、パスボールと相原の送りバントで三塁に進み、古谷の二ゴロの間に生還して3-1とする。

 約1カ月の病気療養があった古谷倉之助は今季最終登板を4安打2四球8三振の完投で飾り7勝目。金鯱は五番黒澤俊夫が攻撃の起点となり四位決定戦第一試合に快勝。一番島秀之助と五番黒澤をツートップとして攻撃の起点としてきたが島は今年で現役を引退し来年から審判に転身することとなる。島秀之助は第二試合は5打数無安打で終わるので、2回に放った右前打が現役最後のヒットとなった。


 ここに野口明の最多勝の夢は潰えたのである。しかしながら、これまで見てきたとおり、昭和12年度ペナントレースにおける投手部門において、野口明は澤村栄治に優るとも劣らない印象を残したのである。

3 件のコメント:

  1. こんばんは!ウスコイ企画岩崎と申します。また一つ疑問があるのでお教え願えませんでしょうか。
    NPB公式では、このシーズンの最多勝投手は15勝で野口明投手を含む3名としています。
    http://bis.npb.or.jp/yearly/yakyuremmei_1937f.html
    これは勝利投手の解釈の違いによるものでしょうか。
    このシーズン、全試合を見渡すと他に野口投手が勝利投手の候補になりそうな試合
    (継投で野口以外に勝ちがついた試合)は10月4日の対名古屋4回戦しかありません。
    こちらのサイトでは浅岡投手に勝ちがついています。
    NPB公式は、確か当時の記録員の判断を尊重する方向性だったように思うのですが、
    この試合に関しては資料により勝利投手が分かれるのでしょうか。

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    1. コメントありがとうございます。
      10月4日の試合はセネタースが1点リードのまま9回を迎え、先発の浅岡三郎は二死後2走者を出して野口明と交代し、野口が後続を抑えてセネタースが勝っていますので浅岡三郎が勝利投手、野口明には現行ルールでいうセーブが記録され、勝利投手が入れ替わる要因は見当たりません。
      NPBの公式記録では12年秋の澤村栄治とスタルヒンの勝敗も1つ入れ替わっています。当ブログでは単純な集計ミスが公式記録となってしまっているのではないかと考えています。

      ご指摘のとおり当時の勝利投手、敗戦投手の記録は公式記録員の判断に委ねられており、現行ルールによる勝利投手、敗戦投手とは異なる記録となるケースは数多く見られますが、当ブログではスコアカードに記録されている勝利投手、敗戦投手を記載しています。

      1985年にベースボールマガジン社から刊行された「日本プロ野球記録大全集」では当ブログと同様、10月4日の勝利投手は浅岡三郎となっており、12年秋の野口明の勝利数は14勝とされています。

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  2. ご返信ありがとうございます。
    当時の記録でも10月4日は勝利投手浅岡ということなんですね。
    そうなると、他の試合は全て野口以外が完投しているかチームが負けているか
    ですので、どう集計しても14勝ですね。公式記録も尊重しなければならないし、
    解釈が難しいですね~

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