7月17日 (木) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 巨人 32勝10敗 0.762 澤村栄治 中尾輝三
0 0 1 0 1 0 2 1 X 5 阪急 24勝18敗 0.571 笠松実
勝利投手 笠松実 4勝7敗
敗戦投手 澤村栄治 5勝3敗
二塁打 (急)上田 2
本塁打 (急)山田 1号
勝利打点 上田藤夫 6
ファインプレー賞 (巨)呉波 2 (急)上田藤夫 1、フランク山田伝 5
巨人キラー誕生
阪急は笠松実が先発、笠松は2回戦以降これで5戦連続巨人戦に先発となった。巨人は須田博が病気療養のため戦線を離脱し、中一日の澤村栄治が先発。午後3時35分、横沢三郎球審の右手が上がりプレイボール。
阪急は3回、一死後フランク山田伝がストレートの四球で出塁、上田藤夫の左中間二塁打で山田が還り1点を先制、翌日の読売新聞によるとエンドランが掛かっていたとのこと。
阪急は5回、西村正夫、山田が連続ストレートの四球、巨人ベンチはここで先発の澤村をあきらめて前日無安打無得点を記録した中尾輝三をマウンドに送る。上田が送って一死二三塁、黒田健吾の二ゴロで三走西村が突っ込むがセカンド筒井修からのバックホームにタッチアウト、二死三塁から中尾が痛恨のワイルドピッチを犯して2-0とする。
阪急は7回、先頭の笠松が中前打で出塁、西村は三飛に倒れるが、トップに返り山田が右翼スタンドにツーランホームランを叩き込んで4-0と突き放す。
阪急は8回、先頭の日比野武がレフト線にヒット、田中幸男は右飛に倒れるが伊東甚吉がセンター左にヒット、笠松も左前打で続いて一死満塁、西村が押出し四球を選んで5-0とする。
巨人は8回、先頭の吉原正喜が左前打で出塁するが白石敏男の中飛をセンター山田が好捕、そのまま一塁に送球し飛び出していた吉原が刺されてダブルプレー。
巨人は9回、先頭の中尾に代わる代打楠安夫が四球で出塁、筒井の遊ゴロをショート上田がエラー、呉の二ゴロもセカンド伊東が失して無死満塁、水原茂の左犠飛で1点を返すが、中島治康は左飛、川上哲治は中飛に倒れて万事休す。
貴重な追撃弾を放ったフランク山田伝は2四球を選んで何れも生還し3得点を記録、更に翌日の読売新聞に「白石の猛球を山田が前進よく捕えて吉原を一塁に併殺するなどの美技」と書かれているように守備でも貢献、このプレーはスコアカードにも「好捕」と記録されておりファインプレー賞が贈られた。勝利打点を記録した上田藤夫はファインプレー賞も獲得、攻守に阪急が巨人を圧倒した試合であった。
笠松実は3安打1四球1三振1失点、自責点ゼロの完投で4勝目をあげる。大和球士著「真説日本野球史」にはこのシーズンは「帰還した笠松実のシュートが面白いように巨人を牛耳った」と書かれている。今季5度目の対決で巨人戦初勝利の笠松はこの試合をきっかけに巨人キラーとなり、この年巨人戦で4勝をあげることとなる。応召前の昭和12年には短いイニングを投げることが多かった笠松実も、兵役で胆力と共に体力を付けて還ってきたのかもしれません。
*笠松実は巨人打線を3安打に抑えて4勝目をあげる。この後巨人キラーとなる。
*笠松実に3安打に抑え込まれた巨人打線。
*昭和26年広島カープ球団創設期の笠松実のサイン(真ん中、広島の下)。左は長谷部稔、右は高木茂。
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