2014年12月13日土曜日

17年 大洋vs阪急 3回戦


5月10日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  0   0   0   0   1  2 大洋 14勝10敗1分 0.583 三富恒雄
0 0 0 0 1 0 0 0 0  0   0   0   0   0  1 阪急 13勝10敗1分 0.565 笠松実 天保義夫

勝利投手 三富恒雄 5勝4敗
敗戦投手 天保義夫 1勝2敗

勝利打点 野口二郎 3


三富恒雄、粘りのピッチング

 阪急は2回、一死後黒田健吾が右前打で出塁、山下好一の左前打で一死一二塁、しかし日比野武の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 阪急は4回、一死後森田定雄の三ゴロをサード中村信一がエラー、黒田が四球を選んで一死一二塁、山下好一の投ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、しかし日比野が投ゴロに倒れて無得点。

 阪急は5回、先頭の江口行雄が右前打で出塁、笠松実が送って一死二塁、トップに返り西村正夫の二ゴロの間に江口は三進、上田藤夫が中前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 大洋打線は阪急先発笠松の前に音無しの構え、初回に濃人渉が中前打を放った以降ヒットが出ない。ようやく7回、先頭の浅岡三郎が右翼線にチーム2本目のヒットを放ち二盗を企てるがキャッチャー日比野からの送球にタッチアウト、野口明は二ゴロ、村松長太郎は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。7回も先頭の織辺由三が三失に生きるが三富恒雄の二ゴロでランナーが入れ替わり、佐藤の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 敗色濃厚の大洋は9回、先頭の苅田久徳に代わる代打野口二郎が四球を選んで出塁、トップに返り中村の三ゴロの間に野口は二進、濃人は中飛に倒れて二死二塁、ここで浅岡が起死回生のタイムリーを中前に放ち土壇場で1-1と追い付く。苅田の代打に出た野口二郎はファーストに入り、ファーストの野口明に代わって山川喜作が入ってサード、サードの中村が苅田の後のセカンドに入った。

 阪急は9回裏、一死後日比野が左前にヒットを放つが二塁を欲張りタッチアウト、佐藤武夫は球界一の鈍足で知られていますがその話はもう少し後にドラマとなりますので乞うご期待。

 阪急ベンチは10回から好投の笠松に代えて天保義夫をマウンドに送り込む。

 天保は快調なピッチングで13回まで織辺の内野安打1本に抑えて無失点。

 延長に入って阪急は10回、先頭の天保が左前打で出塁、トップに返り中島喬が送って一死二塁、5回にタイムリーを放っている上田は四球で一死一二塁、フランク山田伝の遊ゴロで上田は二封、山田が二盗を決めて二死二三塁とするが、期待の森田は一飛に倒れて無得点に終わる。

 阪急は13回裏、先頭の山田が三塁に内野安打、果敢に二盗を狙うがキャッチャー佐藤からの送球にタッチアウト、森田は二飛、黒田が四球を選ぶが山下好一は一飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 大洋は14回表、一死後織辺が左前打で出塁すると二盗に成功、三富が四球を選んで一死一二塁、佐藤の遊ゴロで三進した織辺が一気にホームを突くが、ここはショート上田が落ち着いてホームに送球してタッチアウト、二死一二塁から野口二郎が中前にタイムリーを放って二走三富が還り2-1と勝ち越す。

 勝ち越しのホームを踏んだ三富は14回裏、先頭の日比野を遊ゴロに打ち取り、江口に代わる代打池田久之のピッチャー返しにグラブを出すと弾いた打球がショート濃人の前に転がり濃人が一塁に送球してアウト、「1-6-3」の遊ゴロが記録されて二死無走者、最後は天保に代わる代打森弘太郎も遊ゴロに打ち取り大洋が昨日に続いて2試合連続で延長戦を制す。


 三富恒雄は172球の粘りのピッチングで14回を8安打5四球1死球3三振1失点に抑え、5勝目をあげる。三富は4月12日の阪急戦では延長19回を250球で完投したが19回表に1点を失い1対0で敗戦投手になっている。本日はその時の教訓を活かしたものでしょう。


 この試合の明暗を分けたのは13回と14回の盗塁にあった。13回裏、山田伝の二盗はキャッチャー佐藤武夫に刺されたが、14回表、織辺由三は二盗に成功してチャンスを作り、自らはホームを踏めなかったものの決勝点に結びつけた。すなわち、本日の盗塁対決は織辺由三が山田伝に勝ったのである。山田伝は2度の盗塁王に輝き、その名はある程度の野球ファンであれば聞いたことがあるでしょう。一方、織辺由三は昭和17年を最後に応召して戦死することとなり、余程の野球ファンでもない限りその名は知られていない。


 但し、この日のワンプレーでは織辺が山田伝に勝ったのである。このような事実は記録集を眺めているだけでは掘り起こすことはできない。逆に言うと、このような事実を掘り起こすことが実況中継の醍醐味なのです。









*三富恒雄は172球の粘投で延長14回を完投して5勝目をあげる。














 

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