2014年12月30日火曜日

17年 阪神vs巨人 5回戦


5月15日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 2 0 3 阪神 14勝13敗1分 0.519 若林忠志
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 巨人 20勝8敗 0.714 広瀬習一 中尾輝三

勝利投手 若林忠志 6勝4敗
敗戦投手 中尾輝三 7勝5敗

二塁打 (神)土井垣

勝利打点 松本貞一 2


阪神、気魄の逆転劇

 巨人は川上哲治が戦列に復帰して五番ファースト、白石敏男はまだ戻らず本日も一番には呉波が入る。

 巨人は広瀬習一が今季初めて阪神戦に先発。巨人のローテーションは上位球団には中尾輝三と須田博で、広瀬習一は下位球団専門に投げている。今季阪神戦の先発回数は須田が7回、中尾が5回に対して広瀬は2回に過ぎません。後の1回は藤本英雄となります。

 阪神は若林忠志監督が先発して気魄のピッチングを見せた。5回まで巨人打線を1安打無失点に抑える。その1本は2回に川上が放った左前打でした。

 広瀬も阪神打線を6回まで2安打無失点に抑える。初回の一死一塁は松本貞一を二ゴロ併殺、3回の一死満塁も御園生崇男を遊ゴロ併殺に打ち取っているように、低目の変化球がキレていたようだ。

 巨人は6回裏、一死後広瀬がライト線にヒット、ライトゴロを狙った御園生からの一塁送球が逸れる間に広瀬は二塁に進む。トップに返り呉波がライト線ヒットから二盗を決めて一死二三塁、水原が四球を選んで一死満塁、ここで楠安夫がレフト前に2点タイムリーを放って2-0とする。

 しかし今日の阪神は粘った。7回、先頭の土井垣武がセンター右奥に二塁打、カイザー田中義雄の遊ゴロの間に土井垣は三進、若林は浅い中飛に倒れるが、野口昇に代わる代打玉置玉一が右前にタイムリーを放って1-2とする。

 阪神は8回、先頭の仁科栄三が四球を選んで出塁、巨人ベンチはここで先発の広瀬をあきらめて中尾輝三にスイッチ、塚本博睦が送って一死二塁、トップに返り金田正泰の一ゴロの間に二走仁科は三進、、ここで巨人はファーストを川上から永沢富士雄に、レフトを伊藤健太郎から林清一に代えて守備を固める。この選手交代が試合に重大な影響を及ぼしますから覚えておいてください。二死三塁から御園生崇男が左前に同点タイムリーを放って2-2、ここで巨人はキャッチャー楠がベンチに下がってファーストの永沢がマスクを被り、ファーストには須田博を入れる。三走仁科は御園生の右前打でゆっくりとホームに還ってきたので交錯プレーで楠が怪我をしたとは考えられない。突き指で途中退場の可能性が考えられるが、昭和17年には関西の試合は読売新聞では試合経過が書かれていないので分かりません。キャッチャーが永沢に代わった隙を突いて御園生が二盗に成功、松本貞一がレフトに決勝タイムリーを放って3-2とリードを奪う。松本も二盗に成功するが、土井垣は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人は8回、一死後中尾がライト前にヒット、トップに返り呉は二飛に倒れるが水原が四球を選んで二死一二塁、しかし楠の後に三番に入っている須田は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人9回の攻撃は四番の中島治康から、しかし中島は遊ゴロに倒れ、川上に代わって五番に入っている永沢は三振、伊藤の代わりにレフトに入っている林清一も中飛に倒れてゲームセット。


 若林忠志は5安打2四球3三振の完投で6勝目をあげる。



 ゲーム序盤に併殺打に倒れた御園生崇男と松本貞一が8回に同点打と決勝打を放って意地を見せた。


 巨人はその8回に川上と伊藤を永沢富士雄と林清一に代えたが楠安夫が退場したため永沢がキャッチャーに回り須田博をファーストに起用せざるを得なかった。8回裏のチャンスに楠に代わって三番に入った須田に打順が回って二ゴロ、須田もバッティングはいいが今季好調の楠の退場は痛かった。9回は本来であれば中島、川上、伊藤と続くところであるが守備固めのため中島、永沢、林のオーダーとなり、最終回を迎えた若林も先頭の中島さえ押さえれば何とかなるという気持ちで投げられたのではないでしょうか。


 5月10日から西宮球場で巨人と阪神は3回対戦して阪神が2勝1敗。初戦は中尾が崩れて阪神が圧勝、13日の第二戦は須田をリリーフした中尾が意地を見せて巨人が雪辱、本日の第三戦は阪神戦初先発の広瀬が好投したが阪神が終盤逆転勝ち。戦力低下が著しい阪神が気魄で巨人を上回った。戦時下ではあるがグラウンドに出てしまえばそんなことは関係ない。伝統の一戦らしい熱い闘いであった。







*若林忠志が気魄のピッチングで6勝目をあげた。









*戦時下に伝統の一戦らしい熱戦を繰り広げる両軍ナイン。














 

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