ティム・リンスカムがノーヒット・ノーランを達成しました。学生時代を通じて自身初めてとのことです。リンスカムらしく13奪三振の力投でした。
13奪三振の内訳はチェンジアップが8個、カーブが2個、ストレート(ツーシーム)が3個でした(NBCの画像で筆者の目検によるものですので間違っている可能性があります)。かつては綺麗なフォーシームで三振を取っていましたがストレート系は90マイルのツーシームが主体となっています。
2008年に最初のサイ・ヤング賞に輝いた時はWHIP1.17、防御率2.62ですから「えっ!」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。リンスカムがサイ・ヤング賞に輝いた理由は227イニングスで265三振を奪った豪快なピッチングによるものです。3人が並んだ二位タイのヨハン・サンタナ、ダン・ハレン、エディンソン・ボルケス206個を何と59個も引き離しました。リンスカムは18勝で最多勝のブランドン・ウェブ22勝に大きく引き離され、防御率トップのヨハン・サンタナとウェブがサイ・ヤング賞候補でしたが筆者は「リンスカムが獲る!」と絶叫していました。奪三振率10.51を高く評価していたからです。この年あたりから勝利数はサイ・ヤング賞の選考基準から大きく地位を落としていくこととなります。
当ブログが今季のダルビッシュ有にサイ・ヤング賞のチャンスありと見ている理由もここにあります。前半戦を終えてダルビッシュは119回3分の1を投げて157奪三振、奪三振率11.84を記録しています。二位のシャーザーは129回3分の2で152奪三振、奪三振率は10.55です。現在のところシャーザー有利は否めないところですが、当ブログがダルビッシュに課しているノルマはシャーザーに30個差を付けることです。右僧帽筋の張りがどうのこうのと言っている場合ではありません。
リンスカムの無安打無得点に話を戻しまして、こういう試合にありがちなピンチも数度ありました。4回の三塁線の当りはパブロ・サンドバルの肩であれば心配は無いでしょう。但し8回の三塁線の当りはベース上を通過してサンドバルが捕った位置はファウルグラウンドに2メートルほどはみ出ていました。そこから浮かび上がるような送球でアウトにしたものです。続くライト前へのハーフライナーをハンター・ペンスがダイビングキャッチ、最大のピンチを脱したリンスカムは自身初のノーヒット・ノーランを達成しました。
ハンター・ペンスはバッティングフォームを見ても決して器用なタイプではありませんが、一心不乱に野球に打ち込んでいる姿には心を打たれます。Wikipediaには「『彼のプレーを観ていると力が漲って来る』とチームメイトに言わしめる颯爽とした溌剌プレーを見せる。」と書かれています。こういう選手がこういう時にビッグプレーを見せるものです。2006年ワールドシリーズMVPに輝いたデビッド・エクスタインのようなタイプですね。Wikipediaのエクスタインの項にも「監督トニー・ラルーサは『彼が一生懸命プレーすることで、チーム全体がよくなるように見えてくるんだ』とエクスタインを賞賛している。」と書かれています。
NBCの画像は最後の打者を左飛に打ち取りレフト方向を向いているリンスカムの後ろからバスター・ポージーが忍び寄ってきてレフトのブランコ(この試合の先発レフトは田中賢介でしたが試合終盤は田中が引っ込みセンターのブランコがレフトに回りました)が捕球した瞬間、後ろからリンスカムに飛びつくシーンをセンターカメラが捉えています。NBCのカメラはブランコがウィニングボールをリンスカムに渡すシーンもしっかりと捉えています。スポーツ報知のサイトに掲載されているリンスカムのコメントにも「ウイニングボールはもらった。」と書かれていますが、このシーンはMLB.comの画像で確認することができます。
*ノーヒット・ノーランを記録したティム・リンスカムの直筆サインカード。いつもより大きくアップさせていただきました(笑)。
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