2010年12月22日水曜日

13年春 タイガースvsセネタース 1回戦

5月14日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 1 2 0 5 タイガース 7勝0敗 1.000 釣常雄 藤村富美男
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 セネタース 2勝4敗 0.333 浅岡三郎


勝利投手 藤村富美男 2勝0敗
敗戦投手 浅岡三郎   2勝2敗


二塁打 (タ)伊賀上、門前、岡田
三塁打 (タ)松木


本塁打 (タ)松木 2号、景浦 2号


松木・景浦のアベックホームラン


 タイガースは釣常雄が二度目の先発、前回同様藤村富美男をリリーフに用意しているようで二番セカンドには本堂保次が入る。普通のチームでは岡田宗芳が九番から回るところであるが岡田は九番に固定し、抜けたところに控えが入るところがタイガースの層の厚さを表している。昨年一時三番に定着していた奈良友夫も現在は控えに回っている。

 タイガースは初回、先頭の松木謙治郎が右翼線に三塁打、本堂四球で無死一三塁と先制のチャンス、しかし山口政信の投ゴロは1-4-3のゲッツー、しかも松木は動けず、恐らくセカンドでピッチャー浅岡からの送球を受けた苅田久徳は三塁に顔を向けたままファーストに転送したのであろう。景浦将も中飛に倒れてタイガースは絶好のチャンスを逃す。

 セネタースは1回裏、先頭の苅田が四球で出塁、しかし北浦三男の遊ゴロは6B-3のゲッツーでこちらも無得点。釣は2回に浅岡に左翼線にヒットを許すが続く森口次郎を5-4-3のダブルプレーに打ち取り以降はヒットを許さない。

 タイガースは4回、この回先頭の山口が四球で出塁、景浦の当りは火を噴く様なレフトライナーで一死一塁、二順目に入って浅岡の軟投に慣れてきたようだ。続く伊賀上良平が左中間を破り山口が還って1点を先制、藤井勇四球後、門前真佐人が右翼線にタイムリー二塁打を放って2-0とする。

 セネタースは6回、この回先頭の今岡謙次郎が四球で出塁、トップに返り苅田も四球を選んで無死一二塁、北浦が送って一死二三塁とするとタイガースベンチは予定通り釣から藤村富美男にスイッチ、しかし尾茂田叶が左犠飛を打ち上げて1-2とする。

 タイガースは7回、二死後松木が右翼スタンドにホームラン。松木は自著「タイガースのおいたち」で「この(昭和11年暮れ=筆者注)入院中いろいろ反省させられたことが多い。これを機会にタイガースが優勝するまで禁酒することを心に誓い、また自分のことに専念する決心をした。これが翌年(1937年)春季リーグ戦の首位打者につながった。秋の優勝でまた酒をはじめ、ついに不本意な選手生活を送ることになったのである。」と自らの選手生活を振り返っている。もちろんこれは松木の謙遜であり立派な成績を残している。12年秋は調子を崩していたが今春は打撃好調である。
 タイガースは8回、先頭の山口が中前打で出塁、続く景浦が左翼スタンドに二試合連続のホームランを放ち5-1、松木・景浦のアベックホームランは昨年11月15日の対ライオン7回戦以来二度目のことである(昭和12年以降に限る)。

 藤村富美男は3回3分の2を4安打1四球3三振の無失点で切り抜け2勝目をマークする。釣常雄は5回3分の1を1安打4四球1死球1三振1失点1自責点で藤村のリリーフを仰いだ。リードしたまま5回を投球完了しておりその後同点に追い付かれることなく逃げ切っているので現行ルールでは釣に勝利投手、藤村にセーブが記録されるところであるが、公式記録では藤村に勝利投手が記録されている。

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