2020年4月3日金曜日

21年 阪急vsタイガース 7回戦


6月30日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 1 0 1 0 0 2 0 4 阪急 22勝15敗 0.595 野口二郎 前川八郎 
3 0 0 0 1 1 0 0 X 5 タ軍 20勝16敗 0.556 呉昌征 

勝利投手 呉昌征     8勝2敗
敗戦投手 野口二郎 7勝5敗 

二塁打 (急)三木、山田2、坂井 (タ)富樫2

勝利打点 (タ)富樫淳 2

猛打賞 (タ)御園生崇男 1


富樫淳、タイムリー二塁打2本

 西宮の第2試合は野口二郎と呉昌征の先発で午後2時45分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 タ軍は初回、藤村冨美男監督が三遊間を破って出塁、本堂の三遊間ヒットで藤村は三塁に進み、レフト青田からの三塁送球の間に打者走者の本堂も二塁に進んで二死二三塁、このチャンスに富樫が左中間に二塁打を放ち2点を先制、渡辺誠太郎も左前にタイムリーを放ち3-0とする。


 阪急は2回表、先頭の三木が左中間に二塁打、しかし野口二郎のショートライナーに三木が飛び出しダブルプレー。


 阪急は3回表、先頭の坂井豊司の当りは遊ゴロ、これをショート長谷川善三が一塁に悪送球、更に呉のボークで坂井は二進、坂田清春は三振、トップに返り上田は遊ゴロに倒れるが、山田伝が中越えに二塁打を放ち1-3とする。


 阪急は5回表、坂井がライト線に二塁打、坂田は四球を選んで一死一二塁、トップに返り上田の左前タイムリーで2-3と追い上げる。


 タ軍は5回裏、先頭の土井垣が中前打で出塁、藤村の左前打で無死一二塁、阪急ベンチはここで先発の野口二郎をレフトに回して前川八郎をリリーフに送り、本堂のニゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー、阪急の継投策が成功したかに見えたが、富樫が右越えに二塁打を放ち4-2とする。


 タ軍は6回裏、二死後呉が左前に流し打って出塁、トップに返り金田の右前打で二死一二塁、土井垣が右前にタイムリーを放ち5-2と突き放す。


 阪急は8回裏、二死後四番野口明の代打に起用した森田定雄が四球を選んで出塁、三木の右前打で二死一二塁、野口二郎の中前タイムリーで3-5、前川の中前打で二死満塁、坂井が押出し四球を選んで4-5と1点差、坂田に代打荒木茂を起用、荒木はノーボールツーストライクに追い込まれ、3球目はボール、この時二走前川が塁を離れており、キャッチャー土井垣からの送球にタッチアウト、惜しいチャンスを逸す。


 阪急は最終回、二死後山田が右中間に二塁打を放ち最後の反撃、しかし呉は冷静に青田を歩かせ森田と勝負、森田は右飛に倒れてゲームセット。


 呉昌征は再三のピンチを粘り切り、8安打5四球4三振の完投で8勝目をマークする。


 森田定雄は岐阜商業時代から強打者として知られており、当ブログも「最も無名の最強打者」と認定している(2012年9月9日付け「最も無名の最強打者」参照)。しかし、呉昌征は戦前には1度しか登板経験が無く、当然森田との対戦は無く、岐阜商業時代の森田を知っていたとも考えにくいことから、青田に比べれば抑えられると気楽に考えていたのではないか。


 さて、8回表二死満塁の場面で二走前川八郎は何故塁を離れたのか。スコアカードの記載は「2-4」のタッチアウトで普通のキャッチャー牽制球のように見えるが、「雑記」欄にわざわざ「塁を離れ送球に刺さる」と書かれている。このような記述はこれまでの「二塁キャッチャー牽制アウト」のケースで見られたことはないことから、単純なキャッチャー牽制アウトでは無いと考えられる。逆転のランナーであったことからリードが大きくなったとも考えられるが、このケースであれば普通の「二塁キャッチャー牽制アウト」であり、わざわざ「雑記」欄にこのような記載がされるとは考えにくい。であるならば、呉の3球目が際どいコースであり、二走前川からはコースが分かるので、「ストライク」で三振と早合点して塁を離れたところを土井垣からの送球に刺されたボーンヘッドであった可能性が考えられる。


*「雑記」欄には、前川八郎の「2-4」でのアウトについて「塁を離れ送球に刺さる」と書かれている。これまで「二塁キャッチャー牽制アウト」のケースでこのような記載が見られたことはないので、普通の牽制アウトでは無いと考えられる。

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