2020年4月13日月曜日

21年 巨人vs阪急 7回戦


7月4日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 3 0 1 0 2 0 6 巨人 24勝13敗1分 0.649 近藤貞雄 
1 0 0 0 2 0 0 5 X 8 阪急 23勝16敗 0.590 今西錬太郎 

勝利投手 今西錬太郎 2勝1敗
敗戦投手 近藤貞雄   10勝4敗 

二塁打 (巨)川上 (急)坂田2、青田、尾西
三塁打 (巨)川上 (急)荒木
本塁打 (巨)黒沢俊夫 1号(ランニング)

勝利打点 (急)尾西信一 3

猛打賞 (巨)川上哲治 1


三好主、4失策

 西宮の第2試合は近藤貞雄と今西錬太郎の先発で午後2時50分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の上田の当りは遊ゴロ、これをショート三好が一塁に悪送球、一死後青田の三ゴロの間に上田は二塁に進み、野口二郎の左前タイムリーで1点を先制する。


 阪急は2回裏、一死後荒木の遊ゴロを三好が2個目のエラー、ここは近藤が今西を投ゴロ併殺に打ち取る。二塁ベースカバーに入ったのはセカンドの千葉であった。


 巨人は4回表、一死後千葉が四球を選んで出塁、川上の投ゴロを今西が二塁に送球するがセーフ、野選が記録されて一死一二塁、このチャンスに黒沢がライトにスリーランホームラン、3-1と逆転する。「雑記」欄や「日本野球年鑑」に記載はないが、スコアカードからはランニングホームランであったと強く推認できる。


 阪急は5回裏、先頭の坂井豊司が四球で出塁、荒木茂が左中間に三塁打を放ち2-3、今西の中前タイムリーで3-3の同点に追い付く。更に坂田清春が左中間に二塁打を放って一死二三塁と逆転のチャンスを作るが、坂田が近藤の二塁牽制に引っ掛かってタッチアウト、二死三塁から上田も遊ゴロに倒れ同点止まり。


 巨人は6回表、先頭の川上が右越えに二塁打、川上の戦後初ヒットはライトオーバーの二塁打であった。黒沢、中島は連続右飛に倒れて二死二塁、多田は四球を選んで二死一二塁、近藤が右前に勝ち越しのタイムリーを放ち4-3とする。


 阪急は6回裏、先頭の山田がストレートの四球で出塁、青田のニゴロでランナーが入れ替わり、青田は二盗に失敗、野口二郎の遊ゴロをショート三好が3個の目のエラーとなる一塁悪送球、しかし野口明は三ゴロに倒れて無得点。


 阪急は7回裏、先頭の坂井に代わる代打尾西信一の遊ゴロを三好がこの日4個目のエラー、しかしキャッチャー多田が一塁牽制で尾西を刺し、荒木は三振、今西は二飛に倒れて無得点。


 巨人は8回表、先頭の川上が左中間をライナーで破る三塁打、黒沢は三邪飛に倒れるが、中島が左前にタイムリーを放ち5-3、多田のライト線ヒットで中島は三塁に進み一死一三塁、近藤の中犠飛で6-3、更に三好が左前打を放って二死一二塁、トップに返り呉新亨は二飛に倒れて追加点はならなかったが、終盤の追加点で3点リードしてエース近藤が投げ続けているということで勝負あったかに見えた。ところが・・・。


 阪急は8回裏、先頭の坂田が右越えに二塁打、トップに返り上田が中前にタイムリーを放ち4-6、この打球をセンター呉新亨がファンブルして上田は二塁に進み、山田は四球を選んで無死一二塁、青田が中越えに二塁打を放って二者還り6-6の同点、野口二郎が左前打から二盗を決めて無死二三塁、野口明は三振に倒れるが、尾西が殊勲の逆転二塁打をセンター右後方に放ち8-6と大逆転に成功する。


 巨人は最終回、二死後川上がこの日3本目のヒットとなる左前打を放つが、最後は黒沢が中飛に倒れて阪急が快勝。


 今西錬太郎は11安打を打たれるが2四球4三振の完投で2勝目をあげる。


 巨人のショート三好主が4失策を記録した。三好は今季6試合目の出場でこの日も4打数1安打と全試合でヒットを放ち、ここまで19打数8安打、打率4割2分1厘、前節は殊勲賞を獲得する活躍を見せてきた。しかしこの日の4失策で首脳陣の信頼を失い、この後は2試合に出場するだけで22打数8安打、打率3割6分4厘の成績を残してプロ野球を去ることとなる。


 巨人はエース近藤が2試合連続で打たれて後味の悪い敗戦となった。8回の阪急の攻撃を近藤が抑えて巨人が勝っていれば、三好の4失策も「まぁ、こんなこともある。次頑張れ。」で終わったかもしれない。「勝利」は全てを解決する。所詮「チームワーク」など、勝っていれば自然と湧き上がってくるものであるが、負ければチームはぎくしゃくする。三好の4失策のうち直接失点に結びついたのは初回の1個だけ、8回に逆転された要因としては、むしろ呉新亨のエラーの方が痛かった。2回のエラーは直後に近藤が併殺で切り抜け、7回のエラーは多田の牽制で帳消しにするなど、勝っていればむしろチームの「絆」が強くなるような要素もあったが、この日の後味の悪い敗戦の責任を三好が一身で被ることになってしまった。首位を快走する巨人に、暗雲が立ち込めてきた。


*三好主は昭和20年の東西対抗にも出場している(昭和20年11月29日発行「体育週報」臨時号より)。


*スコアカードの記載から、黒沢の本塁打はランニングホームランであったことが確認できる。

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