2020年4月19日日曜日

21年 グレートリングvs阪急 5回戦


7月6日 (土) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 グ軍 18勝18敗 0.500 野口渉 別所昭 松川博爾 
3 0 0 4 0 0 0 0 X 7 阪急 24勝17敗 0.585 天保義夫
勝利投手 天保義夫 7勝3敗
敗戦投手 野口渉     0勝2敗 

二塁打 (グ)山本 (急)山田、日比野
三塁打 (急)野口二郎

勝利打点 (急)野口二郎 1

猛打賞 (急)山田伝 1


野口渉、最後の登板

 西宮の第2試合は野口渉と天保義夫の先発で午後1時5分、金政主審の右手が上がりプレイボール。片岡勝は第2試合で塁審を務めるが、この試合は金政、杉村の二氏審判で、阪急球団職員の片岡は阪急戦での審判から外されている。阪急はここまで関西圏で20試合を行っているが、その内10試合で片岡が塁審を務めてきた。人員不足に悩まされてきた審判員も、ようやく整備されてきたことから、片岡が阪急戦で塁審を務めるのは7月1日が最後になる。

 阪急は初回、先頭の上田藤夫が四球を選んで出塁、山田伝は右前打、青田も中前打を放って無死満塁、野口二郎が右前に2点タイムリーを放ち2-0、荒木茂が中前にタイムリーを放ち3-0、野口渉は一死も取れずに降板して二番手の別所がマウンドに上がり、森田定雄は二飛、坂井豊司は三ゴロ併殺に倒れてスリーアウトチェンジ。


 阪急は4回裏、二死後日比野が右中間に二塁打、天保がレフト線にタイムリーを放ち4-0、レフト堀井からの返球が悪送球となる間に天保は二塁に進み、トップに返り上田の左前打で二死一三塁、山田が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち6-0、返球の間に山田は三塁に進み、青田のピッチャー強襲タイムリーで7-0と大きくリードする。


 グ軍は5回表、先頭の堀井が中前打、一死後筒井も中前打、桶川隆も二遊間を破り一死満塁、別所の遊ゴロをショート坂井がエラー、三走堀井に続いて二走筒井もホームに還って2-7、一死一三塁からトップに返り河西の三塁強襲ヒットで3-7とする。一走別所はサード荒木が弾いたのを見て三塁に向かうがピッチャー天保が三塁ベースカバーに入り荒木からの送球に別所はタッチアウト、安井も遊ゴロに倒れて反撃は3点止まり。


 グ軍は6回表、先頭の清水秀雄が右前打で出塁、山本一人監督が左中間に二塁打を放って無死二三塁と反撃ムード、しかし堀井の遊ゴロで三走清水が三本間に挟まれてタッチアウト、二塁に戻りかけた山本もタッチアウトでダブルプレー。


 グ軍は9回表、先頭の山本が左前打で出塁、堀井は右飛に倒れて一死一塁、ここで阪急西村正夫監督はライトを野口二郎から下社邦男に交代、代わった所に打球が飛んで田川豊に代わる代打岡村俊昭の右飛を下社ががっちりとキャッチ、最後は筒井に代わる代打木村勉が捕邪飛に倒れてゲームセット。


 野口二郎の捕球を見て西村監督は何を思ったのか、ちょっと目測を誤ったと判断したのか、守備の名手として鳴らした外野手出身の西村監督独特の嗅覚だったかもしれない。守備を代えて一息入れるという場面ではなかった。


 天保義夫は8安打無四球1三振の完投で7勝目をマークする。


 一死も取れずに降板した野口渉はこれがプロでの最後の登板となった。翌年、国民リーグの宇高レッドソックスに移ることとなる。最後は兄・二郎に打たれて引導を渡された。意外とすっきりとした気持だったのではないか。


 2017年7月に放映された「1942年のプレイボール」では、昭和21年4月30日の「グレートリングvs阪急 2回戦」で阪急の投手が野口二郎、ファーストを野口明が守っている時にグ軍の野口渉が打席に立つという場面がラストシーンに使われた。これは、NHKからの依頼で当ブログがこの試合の実況記事を提供し、それに基づいて制作されたものであった。このドラマでは、兄の明や二郎のような素質を持たない渉が、その事実に思い悩むシーンが描かれている。当然にして当ブログは、制作サイドからの依頼に基づいて資料を提供するという立場であり、ドラマの筋書きに口出しする資格はない。もし当ブログが制作にも携わる立場であったなら、それでもプロに進んだ渉が、二郎にコテンパンに叩かれて清々しい笑顔で球場を後にするシーンをラストに持ってきたかもしれない。



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