2011年3月6日日曜日

13年秋 名古屋vs金鯱 1回戦

8月29日 (月) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 3 0 0 2 0 7 名古屋 1勝0敗 1.000 森井茂 繁里栄
0 0 1 2 3 0 0 0 0 6 金鯱     0勝1敗 0.000 中山正嘉


勝利投手 繁里栄     1勝0敗
敗戦投手 中山正嘉 0勝1敗


二塁打 (名)大沢 (金)佐々木、瀬井
本塁打 (名)鈴木 1号


二転三転のシーソーゲーム


 中京地区のライバル同士の闘いは火の出るような熱戦となった。

 名古屋は期待の高い松尾幸造、西沢道夫が共に怪我により出遅れ森井茂が先発。金鯱は鈴木鶴雄、江口行男を応召で失いセカンド五味芳夫、サードに岡野八郎、ショート瀬井清の布陣。

 名古屋は初回、プロ入り初出場となる一番セカンド戒能朶一(かいのう だいち)が四球で出塁してすかさず二盗に成功、鈴木秀雄は三振に倒れるが春季打率二位の桝嘉一が中前に弾き返して戒能を迎え入れて1点を先制、桝も二盗を決めるが大沢清、倉本信護は連続三振でチェンジ。

 名古屋は3回、二死後鈴木が右翼スタンドに叩き込んで2-0とする。因みに鈴木秀雄はスイッチヒッターですので中山正嘉に対しては左打席に入っています。阪急のジミー堀尾文人もスイッチヒッターでしたが日本に来てからは右打席でしか打っていないようなので、昭和13年当時の現役選手では鈴木だけの可能性があります。

 金鯱は3回裏、こちらも一番セカンドに起用された五味芳夫が三塁への内野安打で出塁、佐々木常助の遊ゴロをショート村瀬一三が二塁に送球するがこれが高く逸れて五味は三塁に進み無死一三塁、二塁はタイミング的にも間に合わずと判定されたようで村瀬にはエラーと共に野選も記録されているが、内野安打では無いとうことは一塁に投げていれば間に合っていたと判定されたようだ。瀬井が左中間に二塁打を放ち1-2としてなお無死二三塁、続く小林茂太の遊ゴロは一塁に送られてワンアウト、ところが二走瀬井が三塁に走ってしまった。ボールを捕球したファースト大沢清は瀬井を追いかけて三塁ベース上にランナーが二人となる。占有権は三走佐々木にあるが記録は「×3」で佐々木がツーアウト目の併殺となっている。「×3」は通常は「ファーストに刺殺が記録される守備妨害」を意味するが、このようなややこしいプレーの場合は違う意味で使われることもある。佐々木が塁を離れたところを大沢がタッチしたのではないか。読売の記述は「次の内野ゴロで瀬井は前走者を無視して三塁に驀進し併殺を喫した」となっているがスコアブックにはツーアウト目は佐々木に記録されている。雑記欄には佐々木のアウトは「瀬井の失走のためアウトとなる」と注書きがされている。古谷倉之助は中飛に倒れてチェンジ。

 金鯱は4回、この回先頭の中山が右前打で出るが松元三彦の三ゴロで5-4-3のゲッツー、しかし武笠茂男が四球で出塁、岡野のセンター右へのヒットで武笠は三塁に走り、センター石田政良のバックサードが悪送球となり武笠が還り2-2の同点として岡野も三塁に進み、トップに返り五味が左前にタイムリーを放って3-2と逆転。

 名古屋は5回、一死後石田が一塁への内野安打で出塁するが盗塁失敗で二死無走者、しかし戒能が四球で出塁、鈴木が一塁への内野安打、桝四球で二死満塁、ここで四番大沢清がセンター右奥に走者一掃の二塁打を放って5-3と再逆転。

 金鯱は5回裏、一死後小林茂、古谷が連続左翼線ヒット、中山の三ゴロでそれぞれ進塁して二死二三塁、松元が左翼線に2点タイムリーを放って5-5の同点、松元二盗、武笠四球後、岡野の中飛をセンター石田がエラーする間に松元が還りこの回3点をあげて6-5と再々逆転。

 名古屋は8回、この回先頭の倉本に代わって兵役から戻ってきた芳賀直一が代打で登場、芳賀は期待に応えて三塁に内野安打、代走に田中実が起用される。三浦敏一の左翼線ヒットで無死一二塁、村瀬の投前送りバントは1-5と送られて失敗、繁里栄の投飛も送りバント失敗かもしれない。ということで二死一二塁、ここで春季打率三位の石田が殊勲の同点タイムリーを右前に放って6-6として村瀬も三塁を陥れて二死一三塁、更に決死のダブルスチールを試みるとこれが大成功となり7-6と再々々逆転。

 5回途中からリリーフに出た繁里栄は4回3分の1を投げて無安打1四球3三振と快心のピッチングを見せて今季1勝目をあげる。翌日の読売新聞は「巨躯から射ち出す速球で金鯱打者を爾後無安打1四球に抑える会心の好投を果たした繁里こそ殊勲の第一であった。」と伝えている。

 初出場で一番を任された戒能朶一は無安打ながら二つの四球を選んでいずれも生還して2得点。九番の石田政良が三度の出塁でいずれも盗塁を試みて二度成功させており二番打者としての役目までこなしている。名古屋に恰好のリードオフマンが誕生したようだ。



       *瀬井清のボーンヘッドの場面




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