１５年 黒鷲vs金鯱 １１回戦

11月2日 （土） 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 3 4 黒鷲 ４３勝４３敗４分 0.500 長谷川重一 中河美芳 亀田忠
0 0 0 2 4 0 0 0 X 6 金鯱 ２６勝５６敗７分 0.317 古谷倉之助
 
勝利投手 古谷倉之助 ８勝１７敗
敗戦投手 中河美芳     ７勝１２敗

二塁打　（黒）長谷川、高橋
三塁打　（黒）玉腰　（金）濃人

勝利打点　漆原進　１


古谷倉之助完投勝利

　黒鷲は初回、先頭の岡田福吉がセンター右にヒット、しかし古谷倉之助からの牽制球に釣り出され「1-3-6B」と渡ってタッチアウト、岩垣二郎、玉腰忠義は連続中飛に倒れる。2回は一死後長谷川重一が右中間に二塁打を放つが後続なく、3回は清家忠太郎、山田潔が連続右飛、岡田は遊飛に倒れる。4回は岩垣二郎が二飛、玉腰が右飛、中河美芳も中飛に倒れる。

　ここまでフライアウトが目立つが、本日の古谷倉之助はドロップと見せかけてストレートで勝負しているようだ。

　金鯱は初回、先頭の濃人渉が右中間に三塁打、室脇正信は捕邪飛に倒れるが森田実、黒澤俊夫が連続四球を選んで一死満塁、しかし上野義秋は三振、古谷は遊ゴロに倒れる。

　2回は長谷川重一の前に三者三振に打ち取られた金鯱は3回、先頭の濃人が四球で出塁、室脇正信脇が送って森田は中前打、二走濃人は三塁ベースを蹴ってホームを狙うがセンター岩垣からのバックホームにタッチアウト、黒澤、上野が連続四球を選んで二死満塁、しかし古谷は三振に倒れてこの回も無得点。

　金鯱は4回、先頭の柴田多摩男がストレートの四球で出塁、山川喜作の投前送りバントをピッチャー長谷川が間に合わない二塁に悪送球する間に一走柴田は三進、犠打と野選とエラーが記録される。ここで漆原進が中前に先制タイムリーを放って1-0、トップに返り濃人が送りバントを決め、室脇が四球を選んで一死満塁、金鯱ベンチは先発の長谷川をあきらめてファーストの中河をマウンドに送り込むが、森田の遊ゴロの間に三走山川が生還して2-0とする。

　金鯱は5回、先頭の上野が四球で出塁、古谷が中前打を放って無死一二塁、柴田の三ゴロで古谷が二封されて一死一三塁、山川が右前にタイムリーを放って3-0、漆原が四球を選んで一死満塁、トップに返り濃人が押出し四球、室脇も押出し四球を選んで5-0、黒鷲ベンチは中河をファーストに戻して亀田忠を投入するが、森田も押出し四球を選んで6-0とする。

　古谷の前に6回まで2安打無得点の黒鷲は7回、先頭の玉腰が右中間に三塁打、中河は浅い左飛に倒れるが、亀田が四球を選んで一死一三塁、寺内一隆の遊ゴロの間に三走玉腰が還って1-6として反撃開始。

　黒鷲は9回、先頭の岩垣が右前打で出塁、玉腰が四球を選び、中河の左前打で無死満塁と風雲急を告げる。亀田の遊ゴロで中河が二封される間に三走岩垣が還って2-6、寺内は二ゴロに倒れて二死二三塁、木下政文が四球を選んで二死満塁、ここで清家忠太郎に代えて代打にサム高橋吉雄が登場、高橋は期待に応えて左越えに二塁打を放って4-6、しかし山田潔に代わる代打太田健一が遊ゴロに倒れて反撃もここまで。

　古谷倉之助は6安打3四球3三振、終盤捕まったが完投で8勝目をあげる。黒鷲は中河美芳の乱調が誤算であった。


　黒鷲9回の攻撃で、サム高橋吉雄が帰還後初ヒットとなるタイムリー二塁打を放った。9月23日付け読売新聞に「イ軍高橋帰還登録」と報じられた後、10月13日の南海戦で帰還後初出場を果たし、2試合目のこの日に早くも実力を発揮した。サム高橋吉雄が戦前屈指のホームランバッターであることはご存知の通りです。






　　　　　　　　　　　　　　　　　＊古谷倉之助は6安打完投で8勝目をあげる。

＊サム高橋吉雄が9回に帰還後初ヒットとなるタイムリー二塁打を放った場面。高橋には代走谷義夫が起用されています。