10月7日 (月) 西宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪急 48勝30敗5分 0.615 浅野勝三郎 石田光彦
0 0 0 0 0 0 0 0 3X 3 金鯱 22勝51敗7分 0.301 中山正嘉
勝利投手 中山正嘉 12勝24敗
敗戦投手 浅野勝三郎 7勝6敗
勝利打点 森田実 3
代走の代走
阪急は初回、先頭の西村正夫が四球を選ぶと二盗に成功、フランク山田伝が送りバントを決めて一死三塁、山下実の一ゴロで三走西村がホームに突っ込むとファースト上野義秋がホームに悪送球、西村が生還して1点を先制し打者走者の山下実も二塁に進み、山下好一が右前打、二走山下実がホームに突っ込むとライト室脇正信からのバックホームを中継したピッチャー中山正嘉の本塁送球が悪送球となって山下実が生還し2-0とする。
金鯱先発の中山は2回に浅野勝三郎に左前打を許すが3回から8回を無安打無失点に抑える。
阪急は9回、先頭の井野川利春が左前打で出塁、黒田健吾の三ゴロでランナーが入れ替わり、上田藤夫の三ゴロの間に黒田は二進、浅野が四球を選んで二死一二塁、しかし伊東甚吉は左飛に倒れてスリーアウトチェンジ。
金鯱は阪急先発浅野の緩曲球が打てず8回まで3安打無得点、敗色濃厚のまま最終回を迎える。
金鯱は9回裏、先頭の中山正嘉が左翼線にヒット、石本秀一監督は一旦代走に山本次郎を通告するが気が変わって新井一を代走に起用、、漆原進は中飛に倒れるが、飯塚達雄に代わる代打古谷倉之助が中前打を放って一死一二塁、古谷に代えて代走に山川喜作を起用、トップに返り五味芳夫が四球を選んで無死満塁、阪急ベンチは浅野から石田光彦にスイッチ、佐々木常助は浅い右飛に倒れて二死満塁、ここで濃人渉が左前に起死回生の同点タイムリーを放って2-2、一走五味は三塁に進み、打者走者の濃人もバックホームの隙を突いて二塁に進んで二死二三塁、黒澤俊夫は四球を選んで二死満理、森田実がサヨナラの押出し四球を選んで3-2と逆転サヨナラ勝利を飾る。
中山正嘉は3安打5四球4三振の完投で12勝目をあげる。2点先制されながら粘り抜いた中山の執念が逆転サヨナラを呼び込んだものである。
金鯱9回の攻撃で先頭の中山が左翼線にヒットを放つと、石本秀一監督は一旦代走に山本次郎を告げるが新井一に変更したようだ。スコアカードには山本次郎の出場が記録されているが「備考欄」には「9回代走を通告」と記載されている。「日本プロ野球記録大全集」のテーブルスコア欄には山本次郎は「代打」で出場と書かれているが、スコアカードの記載が正しいとすれば山本の「代打」は間違いとなります。新井一は「代走の代走」ということになります。
スポニチアネックスによると、2011年8月28日、阪神の真弓監督は一死一二塁で一走桧山に代えて代走野原将を起用、平野の左前タイムリーで勝ち越してなお一死一二塁となったところで二走野原に代えて代走大和を起用したとのことです。代走に起用した走者が進塁して更に代走を起用するのは考えられる手ではあります。山本次郎が中山の代走として古谷のヒットで二塁に進んだところで「代走の代走」として新井一が起用されたとも考えられます。「備考欄」に書かれている「9回代走を通告」という記載だけでは「石本秀一監督は一旦代走に山本次郎を通告するが気が変わって新井一を代走に起用」と推理せざるを得ないのも事実ではあります。石本監督には“何か”が閃いたのではないでしょうか。実際、逆転サヨナラ勝ちに結び付いた訳です。
右投手に左の代打を送り、左投手にスイッチされて「代打の代打」として右打者を送ることは良く見られるシーンですが、「代走の代走は」更に奥が深い心理戦と言えるでしょう。
*中山正嘉は3安打完投で12勝目をあげる。
*「h」山本次郎は「備考欄」には「h9回代走を通告」と書かれており、「g」新井一が代走に起用されています。「備考欄」には「g9回代走」と書かれていますので新井一が山本次郎の代走に、山川喜作が古谷倉之助の代走に起用されていることは間違いありません。
9回のヒットは中山正嘉に記録されていますので山本次郎は中山の代打として出場したのではありません。山本次郎が中山の代走に起用されて二塁に進んでから新井一が「代走の代走」に起用されたのであれば山本次郎には「g」と記録されるところですが実際には「h9回代走を通告」と書かれています。
したがって、山本次郎は一旦中山の代走と通告されて出場は記録されましたが、一塁走者となることはなく新井一が「代走の代走」として起用されたようです。
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