2014年6月1日日曜日

16年 朝日vs阪神 10回戦


10月6日 (月) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 朝日 22勝45敗 0.328 福士勇
0 1 0 0 0 0 0 4 X 5 阪神 32勝34敗 0.485 若林忠志

勝利投手 若林忠志 14勝13敗
敗戦投手 福士勇  17勝21敗

二塁打 (神)上田

勝利打点 若林忠志 4


上田正、試合を決める一打

 阪神は2回、一死後土井垣武が四球を選んで出塁、若林忠志は三飛に倒れるが上田正が左前打を放って二死一二塁、野口昇の左前タイムリーで1点を先制する。

 朝日は初回、先頭の五味芳夫が二塁への内野安打で出塁するが二死後盗塁失敗、その後は5回まで若林の術中に嵌って無安打を続ける。

 朝日は6回、二死後五味が中前打で出塁、室脇正信の左前打で二死一二塁、戸川信夫が中前に同点タイムリーを放って1-1と追い付く。

 阪神も3回以降は7回まで朝日先発の福士勇に無安打に抑え込まれる。

 阪神は8回、先頭の皆川定之が死球を受けて出塁、カイザー田中義雄が送って一死二塁、松下繁二は左前打、土井垣武は四球を選んで一死満塁、ここで若林が二前にスクイズを決めて2-1、セカンド戸川からの一塁送球が悪送球となる間に二走松下も還って3-1、なお一死二三塁から上田が中越えに2点タイムリー二塁打を放って5-1とする。

 朝日最終回の攻撃、阪神先発の若林が先頭の室脇正信、続く戸川信夫に連続四球を与えると阪神ベンチはライトを上田から松尾五郎に交代させる。これは若林に一息入れさせることが狙いでしょう。すかさず若林が二塁牽制球で室脇を刺して一死一塁、伊勢川真澄が左前打を放って一死一二塁、岩田次男はセカンドライナー、そして二走戸川は「4-1-6」でタッチアウトとなって試合終了、「雑記欄」には「併殺を取消す」の記載、翌日の読売新聞は「9回は重なる拙走を繰り返し」の記述が見られる。

 これらから総合的に判断すると、一死一二塁から岩田の二直で一旦試合が途切れて二死一二塁、セカンド宮崎剛から白球がマウンドの若林に返球されたが二走戸川が何を思ったか離塁したところに若林が送球し、二塁ベースカバーに入ったショート皆川がタッチして試合終了、一度は併殺が記録されたがプレーが途切れたと判断されて併殺が取り消され、読売新聞の記者は朝日の度重なるボーンヘッドにあきれて「重なる拙走を繰り返し」という記事にした、と見るのが真相ではないでしょうか。


 若林忠志は5安打2四球4三振の完投で14勝目をあげる。決勝のスクイズで勝利打点も記録する。若林がスクイズで勝利打点を記録したのは9月27日の大洋戦で“代打決勝スクイズ”を決めて以来今季2度目のこととなる。

 福士勇も5安打6四球1死球3三振で完投したが味方に足を引っ張られた。最多勝を狙える位置に付けている福士としては痛い敗戦であった。


 試合を決めたのは9回に阪神が2点リードから二走者を残した場面でセンターオーバーの2点タイムリー二塁打を放った上田正の一打であった。勝利打点は若林に記録されるが“真の殊勲打”は上田正に記録される。上田の今季の二塁打はこの1本だけ、通算では2本の二塁打を放って戦死することとなる。昭和12年に阪神に入団してすぐに応召、今季戦場から復帰してきたが再度兵役に就いて今度は戻らなかった上田正にとって、短い生涯で最も思い出に残る一打であったかもしれない。








*若林忠志は5安打完投で14勝目をマークする。










*上田正は9回の第四打席で“真の殊勲打”となる試合を決める一打を放った。










 

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