本日は「古川清蔵のプロ入り初打席」物語です。
既報のとおり、昭和16年8月4日の巨人vs名古屋8回戦で古川清蔵がプロ入り初登場して左中間に三塁打を放つという華々しいデビューを飾りました。
ところが、スコアカードには古川清蔵の名前は見当たりません。百聞は一見に如かず、まずは下の写真をご覧ください。
「備考欄」によると「e」は「9回代打」となっていますので9回の西沢道夫の打席で誰かが代打に起用されたことは間違いありませんが、肝腎の打席欄は名前が空白になっています。筆者の長い解読歴でも初めて見るケースです。
「日本プロ野球記録大全集」のテーブルスコアでは西沢に代打が送られたとは書かれておらず、3打数1安打と1打数1安打を足して西沢の記録は4打数2安打とされています。「三塁打」の欄にも川上と共に西沢の名前が記されています。この「日本プロ野球記録大全集」の記載は間違いです。
翌日の読売新聞のテーブルスコアには西沢は3打数1安打、西沢の代打古川は1打数1安打、三塁打も西沢ではなく古川と正しく記載されています。
古川清蔵は8月18日の黒鷲戦でも三塁打を放ちますので、昭和16年の三塁打は2本ですが、「日本プロ野球記録大全集」では古川の昭和16年の三塁打は「1本」と誤って記載されています。NPBの公式記録では古川の昭和16年の三塁打は「2本」となっています。当ブログの見解は、「日本プロ野球記録大全集」の記載は間違いで、NPBの公式記録が正しいと考えます。残念ながら、「日本プロ野球記録大全集」が間違いでNPBの公式記録が正しいというケースはレアケースです。
「日本プロ野球私的統計研究会」様のサイトに「日本プロ野球記録大全集正誤表」が掲載されており、古川清蔵を検索すると「(詳細)8/4対巨人戦(P.870)、西沢道夫の最終打席に古川が代打起用され三塁打を打っている。BSの打撃成績は西沢31000、古川11000であり、三塁打の項目も西沢ではなく古川である。」と書かれています。
「日本プロ野球記録大全集」の記載が間違っている原因は、スコアカードに「古川清蔵」の名前が書かれていないことから、古川が記録した三塁打が西沢道夫のものと誤って解釈したことによると考えられます。
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