2020年2月18日火曜日

21年 阪急vs中部日本 4回戦


6月21日 (金) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計 
0 0 0 0 0 1 1 0 3  0  5 阪急 19勝13敗 0.594 天保義夫 前川八郎 
0 0 0 0 0 0 0 0 5 1X 6 中部 9勝14敗2分 0.391 森井茂 西沢道夫 

勝利投手 西沢道夫 2勝4敗
敗戦投手 天保義夫 6勝3敗 

二塁打 (急)下社、天保、三木 (中)三村
三塁打 (急)野口明
本塁打 (急)青田昇 2号

勝利打点 (中)小鶴誠 2

猛打賞 (中)小鶴誠 1


中部日本、総力戦で大逆転

 後楽園の第2試合は天保義夫と森井茂の先発で午後3時35分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は4回まで下社邦男の二塁打1本だけで無得点。


 中部も4回まで三村勲の二塁打1本だけで無得点。


 阪急は5回表、野口明と下社のヒットで一死一二塁のチャンスを作るが後続なく無得点。


 阪急は6回表、二死後青田昇がレフトスタンドに均衡を破る第2号ホームランを叩き込んで1点を先制する。


 流れをつかんだ阪急は7回表、先頭の野口明がストレートの四球で出塁、尾西信一の一ゴロの間に野口は二進、下社の遊ゴロをショート三村が一塁に悪送球する間に野口が還って2-0とする。


 中部は5回から8回まで毎回ヒットの走者を出すが、6回、8回と併殺でチャンスを潰して無得点。


 阪急は9回表、一死後野口明が左中間に三塁打、二死後下社は四球を選び、天保のレフト戦二塁打で3-0、日比野が左前にタイムリーを放ち4-0、トップに返り上田も中前にタイムリーを放ちこの回3点、5-0として試合は決したかに見えた。


 中部は9回裏、6回に岩本の代打に出てそもままレフトに入っていた笠石徳五郎がよく粘って四球で出塁、金山に代わる代打服部の中前打で無死一二塁、古川が中前にタイムリーを放ちまず1点、小鶴も左前にタイムリーを放ち2点目、レフト青田のバックホームが大悪投となって三塁に進んでいた古川も還って3点目、打者走者の小鶴は三塁に進み、加藤正二は遊飛に倒れて一死三塁、藤原鉄之助の三ゴロで三走小鶴が強引にホームに突っ込み、タイミングはアウトであったがサード三木久一の本塁送球が悪送球となって4点目、木下政文のニゴロで藤原は二封されて二死一塁、木下に代走林貞明が起用され、三村に代わる代打大沢清が得意の右打ちを見せてライト線にヒットを放ち一走林は三塁に進んで二死一三塁、大沢に代走として俊足鈴木秀雄が起用され、鈴木が二盗、キャッチャー日比野からの二塁送球が悪送球となって三走林が還り土壇場で5-5の同点に追い付く。森井に代わる代打西沢道夫は左飛に倒れて試合は延長戦に進む。


 中部の10回表の守備は大幅に変わった。セカンド金山の代打に出た服部がキャッチャーに入り、サード木下の代走に出た林がセカンドに入り、ライトの加藤がサードに回り、ショート三村の代打大沢の代走鈴木がライトに入り、キャッチャーの藤原がショートに回り、マウンドには森井茂の代打西沢が上がった。おさらいすると、ダイヤモンドを囲む5人の内ファースト小鶴以外は全員変わり、ピッチャーは二番手の西沢、レフトは7回から岩本に代わって笠石が入っており、ライトもこの回から鈴木に変わって外野で動いていないのはセンターの古川だけ。


 阪急は10回表、一死後三木が左越えに二塁打、野口明は四球で一死一二塁、尾西のニゴロで二者進塁して二死二三塁、しかし下社は左飛に倒れてチャンスを生かせず無得点に終わる。


 中部は10回裏、先頭の笠石が左前打で出塁、阪急ベンチはここで先発の天保から二番手前川八郎にスイッチ、服部が死球を受けて無死一二塁、球威のない前川に変わったので当たりに行ったか、古川が粘って四球を選び無死満塁、小鶴の三塁への打球がサヨナラヒットとなって中部が大逆転勝利を飾る。


 中部は15人を注ぎ込む総力戦を制した。藤原鉄之助はキャッチャーと内野をこなすが内野ではサードに入ることが多くショートは不慣れ、林貞明は初めてのセカンド、加藤正二もサードの経験はあるがほぼ外野が専門。試合が長引けば守備の乱れが出たかもしれないが、何とか無事に済んだ。


 大逆転の立役者は9回、10回に先頭打者として出塁した笠石徳五郎。試合出場は少ないがよく活躍する選手で、阪急時代の昭和18年9月26日の南海戦では4安打を記録して11回裏にサヨナラ三塁打を打っている。

 なお、林安夫の弟「林貞明」は「林直明」の表記が一般的であり、昭和21年4月1日発行「体育週報第553号」に掲載されているメンバー表でも「林直明」となっているが、スコアカードの表記が「林貞明」であり、これが間違いであるという確証もないことから、「林貞明」の表記とさせていただいております。「Wikipedia」には「4月29日の対セネタース戦では先発するも先頭打者から5者連続与四球の日本プロ野球新記録」と書かれている(2020年2月18日現在)が、昭和18年5月2日に大和の石田光彦も西鉄戦で「先頭打者から5者連続与四球」を記録しており、これに並ぶタイ記録の間違いである。


0 件のコメント:

コメントを投稿