2012年3月18日日曜日

14年 ジャイアンツvsライオン 10回戦


9月23日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 3 0 4 ジャイアンツ 52勝19敗2分 0.732 中尾輝三 楠安夫 スタルヒン
0 0 0 0 0 0 2 1 0 3 ライオン     24勝47敗5分 0.338 近藤久


勝利投手 スタルヒン 33勝11敗
敗戦投手 近藤久        0勝10敗


三塁打 (ジ)川上、中島


スタルヒン、鬼気迫るリリーフ


 このところ調子をあげてきているライオン先発の近藤久は初回、水原茂の中前打と中島治康の右前打で二死一三塁のピンチを迎えるが川上哲治を右飛に打ち取って波に乗り、以降は3回に千葉茂に右前打を許したのみで5回まで3安打無失点の好投を見せる。

 一方、中尾輝三は4回まで毎回四球を与えるが無安打ピッチング、5回二死後玉腰年男に初安打を右前に運ばれるが無失点で切り抜ける。5回まで0対0で進んだ試合は6回から動き出す。

 ジャイアンツは6回、二死後川上がセンター左奥を襲う三塁打、キャッチャー岡本利之のパスボールで1点を先制する。

 ライオンは7回、一死後坪内道則が左前打で出塁、玉腰の投ゴロでランナーが入れ替わり、水谷則一の遊撃内野安打で二死一二塁、鬼頭数雄が右前にタイムリーを放って1-1の同点、ライト中島からのバックホームをキャッチャー吉原正喜が逸らす間に一走水谷は三塁に、打者走者の鬼頭は二塁に進み二死二三塁、6回にタイムリー捕逸を犯した岡本が汚名挽回の中前タイムリーを放って2-1と逆転するが3点目を狙った二走鬼頭はこの回からアチラノ・リベラ(アデラーノ・リベラ)に代わってセンターの守備についていた呉波のバックホームにタッチアウト。この回からセンターに強肩呉を起用した藤本定義監督の用兵がズバリ的中した。

 ジャイアンツは8回、先頭の水原が四球を選んで出塁、千葉の投前送りバントは正直すぎたてタイミングはアウトであったがピッチャー近藤久が二塁に悪送球して無死一二塁、ここで中島が右越えに逆転三塁打を放って3-2、川上は四球、代走に井上康弘を起用、呉に代わる代打三田政夫は三振に倒れるが平山菊二の中犠飛で4-2とする。

 ライオンは8回裏、先頭の西端利郎の二ゴロをセカンド千葉がエラー、続く井筒研一のカウントがノースリーとなったところでジャイアンツ藤本監督は中尾から楠にスイッチ、楠の初球はボールとなって井筒四球で無死一二塁、この場合与四球は中尾に記録される。伊藤吉男の送りバントは内野安打となって無死満塁、近藤が押出し四球を選んで3-4としてなお無死満塁、藤本監督はここでスタルヒンを投入、スタルヒンは坪内を浅い右飛、玉腰も浅い右飛に打ち取り水谷を二ゴロに仕留めて絶体絶命のピンチを切り抜ける。

 スタルヒンは9回も鬼頭を右飛、岡本を右飛に打ち取り最後は西端を三振で仕留めて33勝目をあげる。

 近藤久は今季勝星なしの10連敗となったがこのところピッチング内容が良くなってきているので初勝利は時間の問題でしょう。



 中尾輝三はジャイアンツがリードしたまま8回のマウンドに上がっているので現行ルールでは勝利投手となります。スタルヒンの今季の42勝については、戦後山内以九士氏等が戦前のスコアブックを見直した際、勝利投手がスタルヒンではなく中尾輝三に記録される試合を2試合発見したことからスタルヒンの記録は40勝に訂正されました。昭和36年に稲尾が42勝をあげた際に、コミッショナー裁定により記録された当時の記録を尊重することとなり再度スタルヒンの記録が42勝に訂正されたことは有名な歴史的事実ですが、5月9日の名古屋戦の9勝目と7月15日のセネタース戦の21勝目に続いて、本日の33勝目も現行ルールに照らすと勝利投手はスタルヒンではなく中尾輝三に記録されることが判明いたしました。現行ルールに基づき今季のスタルヒンの勝利数を訂正すると39勝となります。この後、10月7日の金鯱戦での36勝目も現行ルールでは先発してリードしたまま5回投球完了してスタルヒンと交代している楠安夫が勝利投手となりますので、これも訂正すると38勝となります。恐らく戦後の見直し作業において見落としがあったようです。本件については項を改めて検証することとします。



*公式記録では鬼気迫るリリーフを見せたスタルヒンに勝利投手が記録されているが、現行ルールでは中尾輝三が勝利投手となる。


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