１６年 阪急vs大洋 ８回戦

8月18日 （月） 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
1 0 1 0 0 0 0 0 0  0   0   3  5 阪急 35勝20敗1分 0.636 橋本正吾 森弘太郎
1 1 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  2 大洋 33勝19敗1分 0.635 長尾貞利 浅岡三郎

勝利投手 森弘太郎 21勝5敗
敗戦投手 浅岡三郎   9勝3敗

二塁打　（急）森田、伊東　（大）織辺

勝利打点　黒田健吾　3

猛打賞　（大）苅田久徳　1


阪急、夏季シリーズ1位を確定

　大洋は苅田久徳が8月5日の阪神戦以来久々にスタメンに復帰して二番セカンド。

　阪急は初回、先頭の西村正夫が四球で出塁、フランク山田伝の遊ゴロをショート濃人渉が二塁に送球するが苅田が落球、試合勘が戻っていないか。上田藤夫が送って一死二三塁、黒田の三ゴロで三走西村がホームを突くがサード中村信一からのバックホームにタッチアウト、二死一三塁となって日比野武が中前にタイムリーを放ち1点を先制する。森田定雄の痛烈な当たりはサードライナーとなってスリーアウトチェンジ。

　大洋は1回裏、先頭の中村が中前打から二盗に成功、苅田の三ゴロをサード黒田がエラー、二走中村は動けず無死一二塁、濃人渉の三前バントが内野安打となって無死満塁、野口二郎の中犠飛で1-1の同点に追い付く。更に森田実が四球を選んで一死満塁とするが石井豊の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

　阪急は2回、先頭の田中幸男が中前打、伊東甚吉が送って滝川中学コンビで一死二塁のチャンスを作るが後続なく無得点。
　大洋は2回裏、二死後織辺由三が四球から二盗に成功、トップに返り中村信一も四球を選んで二死一二塁、阪急ベンチはここで先発の橋本正吾から森弘太郎にスイッチ、苅田が左前にタイムリーを放って2-1と勝ち越す。

　阪急は3回、山田が二塁に内野安打、上田藤夫も四球を選んで無死一二塁、大洋ベンチはここで先発の長尾貞利から浅岡三郎にスイッチ、日比野のショートライナーに三走山田が飛び出し「6-5」と送られてダブルプレー、チャンスは潰えたかと見えたが森田定雄が左中間を抜いて上田を迎え入れ2-2の同点とする。

　この後は浅岡と森の投手戦が続く。阪急打線は浅岡を全く打てず4回～11回まで1安打無得点に抑えられる。大洋打線も森弘太郎を打てず3回から2安打無得点。

　大洋は10回裏、先頭の中村が中前打で出塁するが苅田は送らずに打って出て中飛、濃人の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。11回には野口二郎の中前打と森田の犠打一死二塁、石井の遊ゴロで野口が三塁に走りショート濃人が三塁に送球するがセーフ、野選となって一死一三塁、石井が二盗を決めて一死二三塁とするが佐藤武夫に代わる代打古谷倉之助は投ゴロ、浅岡は三ゴロに倒れてこの回も無得点。

　大洋はキャッチャー佐藤に代打を送った関係でレフトの織辺由三にマスクを被らせ、代打の古谷がライトに入りライトの野口二郎がレフトに回る布陣を敷く。織辺はプロ野球生活で唯一度きりとなるキャッチャーを守ることとなった。

　阪急は12回、一死後山田が左前打で出塁、二盗を試みるとやはり急造キャッチャーの織辺は刺せず成功、上田は四球を選んで無死一二塁、黒田が右前に決勝タイムリーを放って3-2、ライト古谷からのバックホームが悪送球となる間に一走上田も還って4-2、打者走者の黒田も二塁に進み、日比野の三塁内野安打で一死一三塁、森田定雄の左犠飛で5-2として試合を決める。

　大洋は12回裏、先頭のキャッチャー織辺由三が左中間に二塁打、トップに返り中村はセンターライナーに倒れるが苅田の内野安打で一死一三塁、濃人が四球を選んで一死満塁と詰め寄るが、野口は浅い中飛、森田実はピッチャーライナーに倒れて万事休す。


　2回途中からリリーフに出た森弘太郎は10回3分の1を投げて7安打1四球3三振無失点、21勝目をあげてハーラーダービー独走態勢に入ってきた。


　大洋は12回の守備で急造ライトの古谷倉之助が本塁に悪送球、急造キャッチャーの織辺由三は記録に表れるエラーは記録されていないが浅岡三郎は投げにくかったのかもしれない。但し、“キャッチャー織辺由三”は1打数1安打二塁打1本、織辺がマスクを被るのはプロ野球人生でこの試合だけなので通算打率は10割ということになります。


　阪急は夏季シリーズ21勝6敗1分、勝率7割7分8厘として残すは巨人との引分再試合1試合だけとなった。巨人は14勝7敗2分、勝率6割6分7厘で残る7試合に全勝すれば阪急と並び同率優勝、大洋は16勝8敗1分で現時点での勝率は巨人と並んで6割6分7厘であるが負け数の関係で逆転優勝の目は無くなった。したがって、阪急は夏季シリーズの1位を確定させた。