8月7日 (金) 神戸市民
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 1 0 1 5 南海 35勝31敗 0.530 木村忠彦 徳島忠彦
0 4 2 0 0 0 1 0 X 7 阪神 35勝28敗2分 0.556 御園生崇男 藤村隆男 若林忠志
勝利投手 御園生崇男 10勝7敗
敗戦投手 木村忠雄 0勝1敗
セーブ 若林忠志 2
二塁打 (神)野口
三塁打 (神)塚本
本塁打 (南)増田 1号
勝利打点 野口昇 1
増田敏、ランニングスリーランホームラン
不動の三番・北原昇を欠く南海は万能選手・国久松一を三番に入れてきた。先発はプロ入り初登板となる木村忠彦が務める。
南海は初回、二死後その国久が中前打から二盗に成功、岩本義行が死球を受けて二死一二塁、しかし五番に入った岡村俊昭は一ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。
阪神は2回、先頭の藤井勇が二遊間に内野安打、御園生崇男は遊飛に倒れるが、松尾五郎が四球を選んで一死一二塁、野口昇がレフト線に二塁打を放ち1点を先制、一走松尾も二塁、三塁を回ってホームに突進、タイミングはアウトであったがレフト国久からのバックホームが悪送球となって松尾も生還、2-0とする。更に塚本博睦が右中間に三塁打を放って3-0、トップに返り山口政信も中前にタイムリーを放ち4-0とする。
阪神は3回、先頭の土井垣武がセンター右にヒット、藤井は四球、南海ベンチはここで先発の木村から徳島忠彦にスイッチ、御園生の投ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、松尾が右前に2点タイムリーを放って6-0と突き放す。
南海は6回、先頭の岩本が中飛に倒れて一死無走者、阪神ベンチはここで先発の御園生から藤村隆男にピッチャー交代、岡村も左飛に倒れて二死無走者、中野正雄の三ゴロでスリーアウトチェンジと思われたところサード土井垣がエラー、続く徳島の一ゴロを今度はファースト藤井がエラー、二死一二塁となって増田敏の当りはセカンドとセンターの間への小フライ、セカンド松本貞一がバック、センター山口が前進するも二者が衝突、白球が転々とする間に二走中野に続いて一走徳島もホームイン、更に打者走者の増田も二塁、三塁を回ってホームに還りランニングスリーランホームランが記録された。
3点差に追い上げた南海は7回、一死後猪子利男が四球で出塁、国久の右前打で一死一三塁、ここは「打走法」か。国久が二盗を決めて一死二三塁、岩本の遊ゴロの間に三走猪子が還って4-6、岡村が四球を選んで二死一三塁、阪神ベンチはここで藤村を下げて若林忠志監督が三番手としてマインドに上がる。岡村も二盗を決めて二死二三塁と一打同点のチャンス、中野正雄は投ゴロに打ち取られて追加点はならなかったが、試合は風雲急を告げてきた。
しかし阪神はその裏、先頭の若林が左前打で出塁、松尾は中飛に倒れるが野口が四球を選んで一死一二塁、塚本の三ゴロが「5-4-3」と転送されてゲッツーと思われたところ、セカンド猪子からの一塁転送が悪送球となる間に三走若林が還って7-4と再度突き放す。
南海は9回、先頭の柳鶴震が左前打、レフト松尾がファンブルする間に柳は二塁に進み、猪子の二ゴロで柳が三塁に向かうとセカンド平林栄治がサードに投げてセーフ、野選が記録されて無死一三塁、国久の左犠飛で柳が還り5-7、しかし岩本の三ゴロが「5-4-3」と渡りダブルプレーが完成してゲームセット。
北原昇を欠く南海は健闘したが、その影響は7回の守備で顕在化した。2点差に追い上げた7回裏、一死一三塁からの三ゴロはゲッツーかに見えたがセカンド猪子利男からの一塁転送が悪送球となって再び3点差となってしまったのである。猪子は開幕からずっとショートを守っており、セカンドでのゲッツーにおける一塁反転はショートとは逆の動きとなる。北原であればゲッツーが完成して反撃の可能性は十分考えらるところであった。
猪子利男がセカンドに回ったため、ショートにはルーキーの増田敏が起用された。増田が6回に記録した本塁打はランニングホームランであった。昭和17年と18年に通算84試合に出場して戦場に去って行った増田敏が球史に刻んだ唯一の本塁打であった。増田は戦死することとなる。
*北原昇の欠場によりショートに起用された増田敏は4打数2安打3打点1本塁打を記録した。
*「雑記」欄には「山口と松本が衝突。球が転々としてる間本塁打となる。」と書かれている。
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