4月16日 (金)甲子園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 2 阪急 8勝2敗 0.800 石田光彦-重松通雄-北井正雄
0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 X1 3 名古屋 4勝6敗 0.400 森井茂
勝利投手 森井茂 2勝3敗
敗戦投手 北井正雄 1勝2敗
二塁打 (阪)黒田(名)前田2、岩田
三塁打 (阪)西村
三浦敏一のチャンスメイクで延長の末首位阪急を倒す
名古屋は2回、小島茂男が四球で出塁、前田喜代士が左中間に痛烈なライナーを放ち小島還り先制。阪急は3回、石田光彦四球、西村正夫左前打で一死一二塁、山下実の一打は一二塁間へ、ファースト小島よく追いつきファーストベースカバーに入ったセカンド小坂三郎に送球、これが逸れる間に二走石田が還り同点、西村三塁山下実は二塁へ、記録はワンヒットワンエラーで山下実には打点は記録されない。名古屋は4回先頭の小島が中前に痛烈なライナーを飛ばす。石田の十字架投法これまでと見た阪急ベンチは下手投げの重松通雄にスイッチ、重松後続を抑え4、5、6回は森井・重松の投げ合いでゼロ行進が続く。
阪急は7回、先頭の川村徳久が四球で出塁、名古屋守備陣はバントシフトを敷くが大原敏夫はバントの構えからエバース、打球は三ゴロとなりサード岩田次男からセカンドベースカバーに入ったショート芳賀直一に送球され(スコアブックの記載からだけでは大原がバントの構えからエバースに出たかは分かりませんが、大原がバントの構えからエバースとした理由は、サードゴロを三塁手がセカンドに送球したセカンドベースカバーにショートが入る、すなわち二塁手はバントの構えを見てファーストベースカバーに入りショートはセカンドベース寄りにシフトを敷いていたからサードゴロのセカンドベースカバーにショートが入ったと推認されるからです。もちろん、大原が左の強打者でサードゴロのセカンドベースカバーにショートが入るほどの極端なシフトを敷いていたという可能性もありますが、そもそも大原が左打者であったかどうかが私の調べている限りにおいて分かっておりません。この日も大原の打順は八番であることから極端なシフトを敷くほどの強打者であったとは考えられませんし、昭和12年頃にそのような極端なシフトを敷いていたという文献等の記録もありません。ご存じのとおり左打者に対する極端なシフトの元祖はテッド・ウィリアムスに対するブードロー・シフトであり、日本においては、戦後、王貞治に対して広島カープが敷いた王シフトが最初とされています。因みにエバースとは、1900年代初頭のシカゴ・カブスの名二塁手ジョーニー・エバースが得意としていたバントの構えからバットを引いて内野手をおびき寄せる戦法のこと。)川村二封、続く重松は二ゴロ、4-6と渡り一塁へ転送されるが重松ヘッドスライディング、セーフとなり二死一塁、トップに返り西村が右中間を真っ二つ、重松還り阪急が均衡を破り2-1とリードする。名古屋はその裏、先頭の三浦敏一が四球で出塁、志手清彦は投ゴロ、併殺を狙って重松二塁へ放るがこれが悪送球となり三浦は三塁へ進み無死一三塁、ここでとっておきの代打の切り札大沢清が登場、大沢期待に応えて得意の右打ちを見せ一二塁間を破り三浦が還り2-2と振り出しに戻る。
森井茂は8回以降も続投、一方阪急は7回途中から昨年のエース北井正雄を投入、8回、阪急は三者凡退、名古屋はその裏、先頭の小島が中前に痛打、芳賀が送り一死二塁、しかし続く前田、森井がともに北井の十字架球で投ゴロに打ち取られ9回へ。因みに石田の十字架投法は投げる前に胸前で十字を切る癖から付いたニックネームであり、北井の十字架球は現在のスライダーのこと。スライダーの元祖は藤本英雄とされているが、昭和12年当時北井や西村幸生が投げていた外に流れる変化球もスライダーの一種と考えられる。おそらく関東4校を倒した関西大学時代に研さんを積んで編み出したものであろう。
阪急は9回も三者凡退、名古屋はその裏、先頭の三浦が四球で出塁と7回と同じ展開、志手が送り一死二塁とサヨナラのチャンス、しかし岡本利三は遊飛、岩田四球と盗塁で二死二三塁、期待の白木一二は右飛に倒れ北井なんとか踏ん張るも名古屋が押し気味に試合を進め延長へ。
10回表阪急の攻撃、一死から西村が左前に痛打し出塁、山田伝は捕邪飛、森井の牽制に西村釣り出されアウト。その裏名古屋は、二死から前田が三塁線を破る二塁打、しかし森井は二ゴロに倒れチェンジ。名古屋打線は北井の左右の揺さぶりに少しづつ対応してきている。11回表阪急は、山下実四球、山下好一三ゴロで山下実二封、ランナーが入れ替わる。続く上田も四球で一死一二塁、しかし黒田健吾は三ゴロ、宇野錦次は遊ゴロに倒れチェンジ。11回裏名古屋の攻撃、先頭の三浦が右翼線安打で出塁、三浦は3打席連続で先頭打者として出塁、志手の三ゴロで三浦二封、ランナーが入れ替わる、岡本も北井の左右の揺さぶりに三ゴロに打ち取られる、と見られたがサード黒田が痛恨のエラーで一死一二塁、ここで岩田が左中間に痛烈なラインドライブを放ち志手をホームに迎え入れ名古屋がサヨナラ勝ち。延長11回を投げ抜いた森井が完投で2勝目。体調の優れない北井は奮闘するも2敗目を喫す。阪急投手陣は3人で10四球を献上、名古屋は1回から7回まで7イニングス連続四球を記録する。
名古屋の八番打者三浦敏一はこの日5打席中4回先頭打者として登場し、3四球1安打と4度とも出塁してチャンスメーカーとなり、7回は同点のホームを踏み、延長11回は三ゴロで入れ替わったランナートップの志手がサヨナラのホームを踏む。
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