昭和21年5月の月間MVP(対象期間:4月27日~5月31日)投手部門を争った森井茂と内藤幸三。
二人のWHIPは共に「1.11」でした。厳密にいうと、森井は「1.113」で内藤は「1.114」なので、森井が僅かに上回っています。
「WHIP」は分母に投球回数、分子に「被安打+与四球」を取るセイバーメトリクスの代表的指標で、1イニング当りヒットと四球で何人の走者を出すかを表します。防御率同様、数値が低い方が評価は高くなります。「WHIP」で投球内容を測るのは批判もありますが、ここでは「WHIP」の価値を論じるのではなく、森井と内藤の投球内容を比較することが目的です。
森井の投球回数は91回3分の2、内藤の投球回数は90回3分の2。森井の「被安打+与四球」は102個、内藤の「被安打+与四球」は101個で「WHIP」は共に「1.11」でした。
分子の中身を見てみると、森井は被安打76本で与四球26個、内藤は被安打46本で与四球55個。すなわち、森井はヒットは打たれるが四球を許さず、内藤はヒットは打たれないが四球を出すピッチングであることが分かります。
2016年5月21日付け「超スローボーラーの不思議」で分析したように、森井は昭和17年を境にしてコントロールが劇的に改善しました。戦後になってもその投球内容に変わりはありません。
内藤はプロ野球初年度に沢村を抑えて奪三振王になっていますが与四球数もトップ。あれから10年が経過して球威は衰えていますが、ピッチングの内容は若かりし頃と変わりがないことが分かります。
「WHIP」の数値だけを見て投球内容を判断するのではなく、その数値の中身を分析することが重要なのです。
https://shokuyakyu.blogspot.com/2016/05/blog-post_21.html
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