2019年12月13日金曜日

21年 パシフィックvsゴールドスター 3回戦


6月1日 (土) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 3 0 1 0 0 4 0 8 パ軍 10勝11敗2分 0.476 湯浅芳彰 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ゴ軍 9勝10敗1分 0.474 石田光彦 江田孝 

勝利投手 湯浅芳彰 2勝3敗
敗戦投手 石田光彦 4勝6敗 

二塁打 (パ)小島
三塁打 (パ)森下

勝利打点 (パ)森下重好 4

猛打賞 (パ)森下重好 5


湯浅芳彰、1安打完封

 後楽園の第1試合は午後1時8分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 パ軍は3回表、先頭の木暮力三が右前打で出塁、富松信彦も右前打で続いて、無死一二塁、小島利男は中飛に倒れるが、森下重好が中前に先制タイムリーを放ち1-0、辻井弘の当りはセカンドライナー、捕球した大友一明が一走森下が飛び出したのを見て一塁に送球するが悪送球、この間に二者進塁して二死二三塁、伊勢川真澄が左前に2点タイムリーを放ち3-0とする。


 パ軍は5回表、一死後辻井がスリーボールツーストライクから2球ファウルで粘って四球で出塁、続く伊勢川が右前打を放つと辻井は三塁に進み、送球の隙をついてホームを陥れ4-0とする。この走塁に対して「本盗」が記録された。スコアカードによると、辻井の三塁進塁は伊勢川の右前打による進塁、そして本塁へのホームスチールが記録され、「雑記」欄に「盗塁は9-4-2の間に行われた」と補記されている。送球ミスがあったのならば辻井のホームインは誰かの「失策」によるものと記録されるが、「本盗」が記録されているということは、守備側にミスがあったのではなく、辻井が守備側の隙をついてホームベースに駆け込んだことを意味する。6回の守備からライトの末崎正隆は早川平一と交代しているので、ゴ軍の坪内監督としては、末崎の送球に不満があったのかもしれない。


 パ軍は8回表、一死後木暮が四球で出塁、富松の左前打で一二塁、続く小島の当りは三塁線に飛びベースに当たってラッキーな二塁打となり5-0、一死二三塁から森下がセンター左奥を深々と破る三塁打を放ち7-0、辻井は一ゴロに倒れるが、伊勢川の左飛をレフト田中宣顕が落球する間に辻井が還って8-0として試合を決める。


 パ軍先発の湯浅芳彰が快投を見せた。


 初回と2回は先頭打者を四球で歩かせたが後続を打ち取り、3回は三者凡退。4回、一死後田中宣顕に一塁線にドラッグバントを決められ初ヒット、ワイルドピッチで田中を二進させるが、菊矢吉男を三飛、石田光彦を左飛に打ち取り無失点。


 5回以降はゴ軍打線を無安打に封じ込め、1安打3四球無三振の完封で2勝目をあげる。


 湯浅芳彰は滝川中学時代は戦前にプロ入りした三田政夫、田中幸男、伊東甚吉と共に甲子園で活躍、卒業後は満州に渡り昭和13年の都市対抗には鞍山市代表の昭和製鋼のエースとして出場した。昭和15年の「満州遠征」時にも昭和製鋼に在籍していたならば、鞍山の昭和製鋼球場で行われた試合を観戦していたはずである。プロでの成績は2年間で4勝15敗であるが、この年の7月には渡辺誠太郎と歴史的な投手戦を繰り広げることとなる。



*湯浅が許した唯一のヒットは田中のバントヒットであった。左打者による一塁線へのバントヒットはドラッグバントの可能性が高い。


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