2016年5月21日土曜日

超スローボーラーの不思議



 森井茂と言えば「超スローボール」の使い手として知られています。

 普通に考えて、「超スローボール」はコントロールが難しく、森井茂は与四死球の多い投手というイメージが定着しています。


 森井茂は昭和11年から25年まで、兵役等のブランクがあって通算10シーズンをプロ野球の世界で過ごしました。通算記録は1,350回3分の1を投げて与四球460個、与死球23個。通算の与四死球率は1イニング当り0.358個、1試合当り3.22個となります。


 これを昭和16年以前と17年以降に分けて分析してみると、

 16年以前:754回を投げて 与四球314個 与死球18個 与四死球率は1イニング当り0.440個、1試合当り3.96個
 17年以降:596回3分の1で 与四球146個 与死球5個 与四死球率は1イニング当り0.253個、1試合当り2.28個


 昭和16年以前は2イニングに1個の与四死球がありましたが、昭和17以降のコントロールが劇的に改善していることは一目瞭然です。

 何をどう改善したかは分かりませんが、ただ遅い球だけを投げてプロ野球界を生き抜いてきたのではないことが分かりますね。



 昭和18年4月29日の西鉄戦で10回を投げて無四球に抑えましたが、12回までの延長戦で10回で降板していますので、公式記録では「無四球試合」にはカウントされておらず、昭和18年の「無四球試合」はゼロとなっています。但し、コントロールが劇的に改善していることをこの試合が証明しています。


*昭和18年4月29日の西鉄戦で延長10回を無四球に抑えた森井茂の投球を記録したスコアカード。





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